第22話 年末
十二月三十日。
大晦日の前の日にわたしは久しぶりに外出することにした。
一応移さないようにマスクをして、防寒をしっかりとして外に出る。
「行ってきます」
わたしはただふらっと降りた駅は地元の駅から一駅の
学校とは正反対の方向でなぜここに来たのか、少しだけある理由があったんだ。
東原駅の近くにあるショッピングモールに向かった。
ここに来たのは遅くなったクリスマスプレゼントを買いに来たから。
「いらっしゃいませ~!」
「あのすみません、この色ってありますか?」
店員さんにスマホを見せて話すと、そのままその店員さんがその商品を持ってきてくれた。
「こちらでしょうか? とても人気のタイプなんです、こちらの商品は」
「ありがとうございます」
わたしはそれを買うことにした。
レジでラッピングをしてもらって、メッセージカードに書いたの。
内容は教えたくなかった。
それはちょっと遅めのクリスマスプレゼントで、買ったときはとってもドキドキした。
東原スケートリンクの前を横切ったとき。
「あれ!? みっちゃん!?」
「
中学からは私立の中高一貫校に進学している。休みとか学校のリンクが使えないときには東原スケートリンクで練習をしていた。
「
「うん、もう大丈夫」
「みっちゃんって、佑李のこと覚えてる」
「うん、
予想が当たった、上遠野がゆうりくんだったんだ。
蒼生くんは考えてから、話してくれた。
「佑李がみっちゃんがスケートを辞めたときに約束したこと、覚えてる?」
「うん。覚えててほしいって? 言ってた」
「へぇ……アイツがそんなことを言ってたんだぁ~」
「そうだったんだね。なんか安心したよ」
そのときにスマホをスクロールしながら、蒼生くんは話し始めた。
「うん。みんな名前で呼ぶから名字を忘れるんだよな~。みっちゃんの名字も試合のときしか覚えてないし……」
「上遠野がゆうりくんだったんだ……なんで気がつかなかったんだろう? 半年以上、クラスメイトで一緒なのに」
わたしは混乱して、話すことで整理していた。
「無理はないよ。中学でもいじめみたいなことを受けてて、性格が変わったかもな」
小学生のときもつらかったって言ったのに、中学時代もそんなことを受けてたことは知らなかった。
「中学時代のことは言ってなかったよ?」
蒼生くんがうなずくと、スマホを見せてくれた。
「佑李ってなにかを忘れるように練習をしていたんだ、ジュニア時代の成績はとても良かった」
写真は何枚もあって、全て試合が終わったあとに行われた表彰式のあとのものだった。
上遠野が笑顔でメダルと賞状、トロフィーを持っていることが多かった。
「ジュニア時代、佑李はほぼ毎年世界ジュニアに出場して、毎回上位入賞して帰ってきた。アイツ、ほんとに練習は苦ではないから……」
ほぼ毎年世界ジュニアに出場するってことは、上遠野がかなりの実力者だっていうことがわかった。
「でも、調子に波があって。ダメだと自爆するし、良くてノーミスが当たり前だから」
「そうなの。蒼生くん、佑李くんによろしくね」
「おう! りょーかい。伝えておくよ」
蒼生くんとスケートリンクの前で別れると、そのまま走って駅に改札に入っていく。
今日買ったのはブレスレットでシンプルなもので、メンズのものを選んでみたけど意外と持っている服でも使えそう。
大晦日になって、わたしは部屋の大掃除を終えた。
「お兄ちゃん。今年は紅白を見るよ? いいよね」
「はぁ!? ガキ使、見せろよ!」
毎年恒例の大晦日の夜は何を見るかでお兄ちゃんともめていた。
わたしは最初から紅白に好きなアーティストが出るので、ずっと最初から見たかったんだ。
そのままじゃんけんをして、わたしが勝ったので紅白歌合戦を見ることにした。
日付が変わるまで起きて、LINEで上遠野にメッセージを送ることにした。
『明けましておめでとうございます!』
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