第12話 戻ってきた日常
でも、クラスメイトにはあんまり話せないでいるようで、少しだけ怖いのかもしれない。
「上遠野、次は体育だよ。一緒に行こう!」
「あ、田代……ありがとう」
男子で仲が良いのは
とても気さくで、
体育では体育館で創作ダンスをすることになっていた。
「寒い……上ジャージ着てて、良かった」
わたしはすぐに体育館のひんやりとした空気と特に一時限目の体育館でやる体育は不思議と好きだ。
それは中一まで早朝と夕方から夜にかけてスケートリンクに練習していたときから、とてもずっと変わらない気持ちになった。
「創作ダンス、めちゃくちゃつらい……やる気がでないよ~!!」
「英梨ちゃん……どんだけ、嫌すぎなの」
その理由は各グループで舞台発表があるせいだった。各グループは選んだ曲で振付をして踊ることになっている。
わたしのグループは英梨ちゃんと同じグループで、少しだけ振付を手伝ったりもしていた。
「ミッチー。リズム感がすごくいいから、お手本になってくれない!? ダンス」
「いいけど……英梨ちゃん」
振付を覚えてからお手本を始めると、みんなが一斉にこちらを向いている。
曲は英梨ちゃんが好きな曲。
K-POPのアイドルグループでいつもカラオケで歌ったりもしていたもので、自然と振付も完成していた。
終わったときに周りのみんなが拍手してきた。
「
「ダンス、習ってたの?」
「めちゃくちゃキレキレで踊ったよね?」
みんなが口々に質問攻めにされてしまった。
「ダンスは少しだけ習ってたけど、フィギュアスケートのレッスンの一つだったから」
わたしは少しだけ質問攻めにされてびっくりしたけど、ちょっと疲れてしまった。
そのあとにグループでダンスの練習を始めて、ほんの数十分でみんなが振付を覚えていくんだ。
「さすがダンス部だよね……英梨ちゃんたち……」
英梨ちゃんとを含むわたし以外の三人はダンス部の部員でわたしと佐伯さんと早野さんは他の部活だったけど、ダンスをするのが好きな人が集まったグループになった。
そのまま舞台発表のリハーサルがあった。
「
「はーい!」
みんなで舞台でフォーメーションを確認してから、曲をかける合図を始めたのだった。
曲がかかると、まるで別人の表情で踊り始めたの。
それはスケートをしていたときみたいで、とても楽しく踊ったりとできる。
リンクの上にいることを思い出した。
氷の上を滑る感覚がとても懐かしい感じがする。
いつの間にか最後まで踊っていて、わたしは体育館の舞台に戻った。
目の前がチカチカする……この瞬間がずっと前にも感じたことがあった。
「ミッチー! めちゃくちゃ上手かった。めちゃくちゃ輝いてた」
後ろから英梨ちゃんに抱きつかれて、びっくりしてしまった。
「うわぁっ! 英梨ちゃん……びっくりした」
「フフフ……」
いたずらっ子のような笑顔でこっちを見られると、なんでか許しちゃうんだよね。
「良かった。それじゃあ」
授業が終わるチャイムが鳴って、休み時間が始まって制服に着替えてから教室に戻ったときだ。
教室で上遠野は静かに本を読んだりしていた。
「上遠野……大丈夫?」
「うん。あと、昔のことを思い出したんだけど……本当の父さんとは中一の後にも会ったことがあったんだ」
「中一のときに?」
上遠野は少しだけ首をひねる。
「うん、でも……そのときには母さんとは離婚してて。再婚して、
わたしの記憶にはそのことは覚えていなかった。
それがひどく懐かしくて、不思議だと感じてしまった。
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