第20話 インフルエンザ
クリスマスイブ。
きっと外は夜のイルミネーションがきれいで、カップルたちが歩いている……はずだ。
わたしはずっと寝込んでいた。
いまは落ち着いて、リビングで昼ご飯のうどんを食べ終わった後だ。
「あ~。かなり酷くなってきた」
「
母さんが既に軽くなった普通より大きめのティッシュの箱を持って、驚きの表情を浮かべていた。
昨日の夜に新しいものをおろしたのに、翌日のお昼にはもう三分の二を使いきっていた。
鼻のなかの感覚が敏感になってるせいか、何度もティッシュで鼻をかんでもなかなかスッキリしない。
昨日の夜に三十九度の熱があって、今日は病院に行ってきた。
いまは落ち着いてきたけど、高熱と元々持っていた寒暖差によるアレルギー性鼻炎が悪化したので結構つらかった。
そのあとに母さんは少し呆れたようなため息をついた。
「まさか、
咲哉というのはお兄ちゃんの名前で、お兄ちゃんも自分の部屋で寝込んでいる。
「それは言っちゃまずいでしょ。お兄ちゃん、大学で結構流行ってたって聞いたし」
かすれた声で話して、すぐに咳き込む。
元々冬になると発症する寒暖差のアレルギー性鼻炎が悪化したの。
そのおかげで鼻はグスズスしてるし、鼻づまりが影響して口呼吸になって喉もやられるしで大変なんだ。
受験も第一志望校だった都立高校の受験時にいまのようなコンディションで、集中できずに落ちてしまったのを思い出していた。
「大丈夫? 食欲はお昼ご飯でわかったから、ちょっと休んでいなさいね」
母さんに新しいティッシュ箱と水分補給用のポカリ(五百ml)を渡されて部屋に戻った。
お兄ちゃんがインフルエンザだということを教えれて、ほぼ同時期に体調を崩していたわたしも病院で検査してもらった。
もう今週は安静にすることにした。
あと今年のクリスマスパーティーも兄妹であるわたしたちがインフルになったこともあり、お兄ちゃんの彼女さんは来れなくなってしまった。
明後日に
それを断るメッセージを送ることにした。
解熱剤と鼻炎を抑える薬を飲んで、ベッドで安静にすることにした。
『インフルになった。映画に行くのはムリそう』とメッセージを送り、泣き顔のスタンプも送った。
目を覚ますと、部屋のなかは真っ暗になっていた。
いつの間にかスマホを持って、寝落ちしたようで待ち受けに表示された時刻は午後六時半を指している。
そのなかに上遠野からの返信が表示されていた。
『大丈夫か? 今年はゆっくり休んで、来年でもいいかもな』
そのメッセージを見ると、とてもドキドキしてしまう。
『うん、ごめんね』と送ると、すぐに既読がついたと同時にメッセージが来た。
『いいよ。お大事にね』
そのメッセージを見て、とてもホッとできた。
そのままもう一度、眠ることにした。
翌朝、わたしは熱も下がっていた。
あとは二日間家を出なければ、大丈夫だと思う。
そのときにLINEがたまっていたのを消化することにした。
お兄ちゃんはまだ寝込んでるのか、なかなか部屋から出てこなかった。
わたしは元気にはなったけど、映画は来年の始めになった。
ちょっと残念だったけど、楽しみなのが増えて嬉しかった。
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