第9話 心配
その目は怯えていて、びくびくとしていたの。
この前の暴力を振るわれたのが、とても怖かったみたいだった。
その犯人たちは上遠野の件で調べるにつれて、他の同級生いじめをしていたことが発覚して処分が下されたらしい。
「上遠野。お昼、一緒にどうかな?」
「え……いいの?
上遠野が話せるのはわたしと英梨ちゃん、彼と仲の良かったサッカー部の田代くんの三人が安心して話せるようだった。
「
「うん……。また襲われるんじゃないかって……思ってて、怖いんだ」
明るい茶髪にヘーゼルブラウンの瞳は日本人離れしていて、好奇の目で見てしまうと思う気がした。
なかにはそれを面白がってしまうのがエスカレートして、それが暴力に発展しまうことになることもある。
「上遠野……大丈夫? 顔が青いよ」
「うん。大丈夫だよ。朝から体調が悪くて……ちょっとご飯食べたら、保健室に行くよ」
上遠野の顔が青白くなっている。普段から色白なんだけど、それ以上に白くなっていた。
「上遠野、倒れるのが心配だから、一緒に行くよ?」
「……大丈夫だよ」
上遠野はそのまま若干ふらつきながら、保健室に向かっていった。
そして、体調がだいぶ悪いみたいで今日は早退してしまった。
「明日。学校に来れるかな?」
「さぁ……わからないけど。不安だよね」
体調を崩して翌日から学校を休んでいる。
あれから二週間が経とうとしていた。
まだ精神的ショックで立ち直れていないまま、無理して学校に来た感じだった。
「英梨ちゃん」
「どうしたの? ミッチー」
わたしは部活が終わったら、靴箱で集合することにしたんだ。
「あ、ミッチー。ノートとか持ってるよね?」
そのときに上遠野の住所を確かめてから、すぐに彼の家に向かう。わたしの地元の隣駅が最寄り駅みたいだった。
英梨ちゃんと一緒に家に行くことにしたけど、ちょっと迷ったりもしらながら上遠野の住むマンションにやって来た。
「ミッチー。一緒に行こう! 上遠野の家族には連絡をしてあるから……」
英梨ちゃんは学級委員もしているので、上遠野のお母さんはすんなりとオートロックを開けてくれた。
わたしは英梨ちゃんの隣に引っ付く感じで、すぐに上遠野の家に向かったの。
「ここだね……上遠野って書いてあるし」
上遠野はおそらく再婚したお父さんの名字で、インターホンを押すとドアの向こう側から声が聞こえて来た。
「あ。稲木さん、碧峰さんね。いらっしゃい」
ドアを開けてくれたのは、上遠野のお母さんだったの。
目が少し大きめで、その表情は少しだけ疲れているようにも見える。
「はい。あの……プリントとかを渡しに来ました」
「ありがとう。よかったら、お茶していって」
英梨ちゃんと一緒にその言葉に甘えて、家にお邪魔させてもらうことにした。
そのときに上遠野がリビングで小学生の男の子と一緒に遊んでいた。
「兄ちゃん。今日は大丈夫なの?」
「うん。
わたしの姿を見て驚いているみたいだ。
「どうして。碧峰と稲木が来てるんだ?」
「ああ、プリントとか大量にあったから、持ってきたんだ。それで来たの」
そして、そのまま上遠野は納得したようにうなずいて、光輝と呼んでいた男の子がこっちにやって来た。
「お姉ちゃんたち、だれ?」
「光輝、お姉ちゃんたちは兄ちゃんの友だちだよ? 仲が良いんだよ」
光輝くんは塾のバッグを持って、これから塾に行くみたいで外に出た。
「どうして……ここにいるんだよ? 碧峰、稲木……」
わたしと英梨ちゃんは少し上遠野と話すことにした。
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