006:暁雨、早朝に川原を散歩する(9)
人間て一生、変わらんもんです。
成長するんは体だけで、アホは一生治りませんし、死んだ後でも治りません。
神になろうが鬼になろうが、アホはアホのままなのです。
それは断言できます。私がその実例です。
あいつなんで断るんやろな。
泊まっていけって言うたのに?
嫌いなんか、俺のこと。
好きやって言うた
言うた
そういうことが、ずうっと頭の中でモヤモヤっとして、ちいとも気が晴れへんのです。
アホやな。ええ歳して。
生きてたら今年で九十五歳ですよ?
死んだせいで、それが
いつまでたっても青いことこの上なく、ほんまに
「おみそしるぅ〜」
舌足らずな声で
いわゆる猫まんまですね。
こんな
当家は戦前は
それでも、これが可愛いユミちゃんの大好物なので
「ユミちゃん、昨日のな、川で
「ぶぶ〜」
息子が一度食うたネギを吹き飛ばして遊んでおります。
お
しかも今朝見たら二歳ぐらいに若返っていました。
どうしたんや今日は⁉︎
昨日は七歳ぐらいやったやないか。
なんで今日に限ってこんな小さいのや。
「ユミちゃん……」
青ざめて聞きましたが、今日の息子は
言葉も
「あの川で
聞いてるそばからユミちゃんは、キャッキャッと喜んで、
アッ、やめなさいユミちゃん、やめて。
「川でお金ぎょうさんあるって答えたん、あの人か?
「おしぇんべ、おしぇんべ」
もうユミちゃんは赤ちゃん
もう無理や。言うて通じる相手ではないです。
なんでこんな事に。
「あれまあ。ユミちゃん、お
朝から
さすがは
しかし、その
世が世なら、ありえへんことです。世が世なら。
「いやぁ、お兄ちゃん。今朝はえらい……
面白うないわ‼︎
「ユミちゃん、おとうさんがお気の毒やさかい、お
自分も息子と同じ、鏡のごとき
「おしぇんべ」
ユミちゃんは幼児椅子から真面目に答えています。
「はいはい」
慈愛に満ちた笑みで、
「ユミちゃん、昨日、なんや変なもん川で
「
「そやそや。おかあさん、なんも、タダで言うてとは
にこやかな母親の話にユミちゃんも納得したんやら、どうやら。
「おかあさん、怒らへん?」
「なぁんも怒らへん。言うてみて?」
女神のような美しい表情で、お
「ユミちゃん……夢見たのぉ」
「夢?」
美しいシナを作ったまま、お登与が聞き返しました。
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