005:暁雨、米を炊く (2)
ととと、と
行った先で急に
とにかく目を離さんように
仮にも、
そういう疑問もあるにはあるものの、ユミちゃんを一人にしたらあきまへんという妹の
やむを得ません。後を追いましょう。
しかし廊下を走ったらはしたないて、我が家では昔から
私は元当主として、
あ、今、台所の方からガラガラガッシャンという音がしました。
やむを得ません。小走り程度はかまへんということに
なんせもう、
「ユミちゃん」
「なんで
思わず
「これは
「ほんならなんで
苦笑しながら聞き直すと、
「空っぽやからやわ、おとうさん。これ、ごはんがあらへん」
「
台所には食べ物の
今日に限って皆が出払っています。
ほんまやったら煮炊きをする使用人がいつも
その昔には、うちには無数の使用人がいて、誰もいいひんということは無かったのやけど、ずいぶん時が流れたものや。
広大やった
自分では、
その時に見ていた
あの頃は同じ
さっぱり分からへん。使い方が。
これはどこに火がつくのや?
さっぱり分かりません。
「ユミちゃん……これ……
ある訳あらへんのに、つい
まだ
「ユミちゃん分からへん。まだ赤ちゃんやもん」
それもお
「おとうさん、大人やからできるやろ?」
「大人やけど、米
正直言うたら、
そやけど、米?
そないなもん、簡単ですやろう。誰かて米ぐらい
おそらくは、ですけどね。
ユミちゃんは嬉しげにニコニコして、じっと見上げてきます。
その顔が、恐ろしく
あれが弟やったらこんな感じやったのか、と思えるほどです。
どんなことでも我がままを通すあたり、まったくよく似ておりますのでね。
「米、
「お米はね、ここに入ってんのやで。僕よう知ってんのや」
台所の
なんで知ってんのやユミちゃん?
とにかく
米さえあれば、後は
そんなもん、簡単や。
そう思いつつ、
あのう。
これ。
なんぼほど入れたらええもんなんでしょうか?
一杯、二杯?
そんなことが、この世でどれほどの問題やったというんでしょうか。
そやけど今は、それが最も重要なのです。
「
私がじっと米を見て固まっておりますと、ユミちゃんが苦笑いのような顔で見上げて、片手でつまむように持ったスマートフォンをぶらぶらして見せています。
あっ? なんでや、それ、おとうさんのやぞ。
「米ぐらい誰に聞かんでも
めっと
まったく幼児というのに
さっさと米
水入れて、火にかければええだけです。
適当に、
昔はうちも井戸水を
便利になったんやて
上の息子が言うには、これは
京の
どうでしょう。
けど息子は
それが
まあ……そうなんやろな。
「おとうさん、お水入れすぎやない?」
横で楽しげに見ていたユミちゃんが言うています。
うわ、ほんまやな。考えてるうちに
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