005:暁雨、米を炊く (5)
「おとうさん、おいしいね」
「僕ねえ、おにぎりが一番好きや。その次がマクドナルドのポテト。ポテトのほうが好きかも?」
好き勝手なことを言うてる
「おとうさん食べへんのぉ?」
一人で食うのがつまらんのか、
私は特に腹は
けど、
同じ米の
「そんなことあれへんよ。おとうさんのおにぎりも
ユミちゃんがニッコリとして、ご
ユミちゃん、おとうさん何も言うてへんけどなあ。何か言うてたやろか。
きっと
いいや、そないな訳あらへんな。
「ユミちゃん、お腹いっぱいなったわ」
丸い
「眠いよぅ、おとうさん」
トロンと閉じかけた目で言うて、
今日の
ほんまはまだ
座ったまま
そうしてから、小さい手についた
「おとうさん。ずっといてね」
ずっと
そやけど、
誰かに求められる
声もなく震えるだけの電話です。世の中変われば変わるものです。
それが誰からかは分かりましたが、
昔は甘いもんなど男の子の食べるもんやおへんて言うて、我が家では禁じられていたのですが、そないなもん知ったことやないです。悪い子ですからね?
しばらく電話が震えるのを見てから、通話に
『
しょんぼりとした美声が、電話口で静かに
それが
「可愛い子と寝るんが
そう言い終えんそばから、ハァと困ったようなため息が通話の向こう側から聞こえて来ました。
『
「そうやで」
「
ぶつぶつボヤいて言うと、相手は
「また
それには相手も苦笑したようで、
実は私は、この
『いつ来んのや』
「分からへん。近いうちにやな」
すうすう眠っている
ところでその、
つまり
初めて
ちいとも
まあ、妖怪やもんね。しょうがない。
多少の
わざとやってるんやないのやけど……わざとやってるんやろか?
『
「そうやろか?」
『そうや。いつも
電話の声が
「近いうちっていつやろな」
『もう、何言うてんのや。それは坊が決めんのやろ』
今日は
「お前が決めて」
こういう時、こいつは何を考えてるんやろか。昔からさっぱり分かりません。
『明日でもええ?』
あっ、今日やないんや?
ちょっと驚きましたが、明日でもまあ悪うないでしょう。
月はまだ
「明日でええよ」
目を閉じて、どことのう、その暗闇の向こうに見える気のする、白い姿を思いながら答えると、うっすらと眠気がしました。
『きっと来てな』
今夜とは言わへん連れない月が、
「きっと行くわ」
電話にそう約束すると、それは無言で切れました。
あっ、切ったぞ? それだけか?
いつもこんな感じですね。
いろいろ
けど、そのほうが、
身を
そういうことにしましょうかね。今は。
眠り込んで冷えへんように、眠る
しばらく
ほな今日のところはこれにて、
――終――
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