006:暁雨、早朝に川原を散歩する(3)
「おとうさん……寒いよう」
びしょ濡れの我が子が川原で震えているのを、こっちもびしょ濡れで見ました。
「当たり前やわ、
ついガミガミ
ほんまにどこまで大変なんやろ、おとうさんとは。
「ごめんなさぁい……そやけど、誰か呼んでるのやもん。おとうさん」
細かく震えながら、ユミちゃんがそない申します。
川から誰が呼んでんのや?
あっ。
「
ちょっと
なんや、ちゃうんか。おとうさん
「何かなぁ、魚やのうてなぁ、もっとヌメっとしたものやの」
「ヌメっと?」
我が家の
そやけど知らん顔せなあかんのです。
神ならともかく、
なんせ、この世は、
「ほっとき、ユミちゃん。うちには関係あらへん」
「そんなことないもん。助けて〜って言うてるもん。おとうさん、正義の味方なのやろ?」
そうやて信じてるらしい
はぁ? 何言うんやユミちゃん……。
おとうさん、そんなええもんと違うで。
うちはな、ありがたい神さんをお
けど、それは……ずっとそれが、我が家に
ボランティアやないのや。仕事やの。ただでは働かんのやで?
「お金あるのォォォ?」
ちょっとユミちゃん誰と物言うてんのや⁉︎
朝ジョギングやら言うらしいですね。
何で
「あるって言うてる、おとうさん。お金ぎょうさん持ってるて」
「そんなもん
「
ユミちゃんはいつも見てるヒーロー番組の役者がやるのと同じポーズで叫び、走り出しました。
今度は二本足でね。
よかった。
そんなん言うてる場合か。
ああっ、また
ウワアとかヒエエという叫び声が川原の遊歩道から聞こえます。
思った以上に人おるな。
子供が落ちたぞ‼︎
橋からもそんな声が。
通報!
そんな声も。
それはやめといてくれ。
しょうがない。ここは親として、やるべきことをやりましょう。
もういっぺん川に飛び込む訳ですね。
そら、もう、一回も二回も同じや。どうせもう、びしょ濡れやさかいに。
あぁ、あぁ、何でこないなことになったのやユミちゃん。お兄ちゃんはこんな事あらへんかったえ。
お
そやけど、それは言いっこなしやで。
おとうさんも
後を追いましょう。
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