006:暁雨、早朝に川原を散歩する(18)
「ユミちゃん」
座敷に
その笑みと向き合う
「川で
出会い
ユミちゃんなどは、まだ何を言われたのかわからず、笑顔のまま止まっています。
「危ないのやおへんか。あないなもん、また川に返してこなあきまへん」
「ダメェ!」
ユミちゃんは急に怒って、抱いていたヌイグルミを
「ダメェ! ケガしてるんやで。カワイソウ」
もう
もう治ったのやけど、ユミちゃんは出かけていて、まだアレの回復を知りませんでした。
「もう治ったさかいに、
元々、アレを助けることに特にお
アレ……。まだ我々が名も知らん
「イヤダァ‼︎ ユミちゃん約束したもん。助けるのォ‼︎」
落としたヌイグルミまで盗られるとでも思うんか、
なんや
私も少々疲れたんか、
「ユミちゃん、お母さんいつも言うてるやないの。通りすがりの
教える口調で登与はそう
たぶん私も、そんな顔してたのやろな。
見かねて、つい口を
「ユミちゃん、心配しいひんでも、あいつはもう大丈夫や。けど帰るところがどこやか分からんて言うてる」
ヌイグルミを抱きしめて突っ立っている
確かに、あいつはちょっと危ないかもしれへんな。
私はまあ、かまわへんけど、ユミちゃんはまだ小さいのやさかい。
「あいつが
そっぽ向いてる
「ユミちゃんが話してくれへんでも、おとうさんやアキちゃんお兄ちゃんが調べたら、わかるのやで?」
そやから
ユミちゃんは、ウウウッと
「ああ⁉︎」
今さら驚くことでもないのですが、目の前で弟が赤ちゃん返りしてもうて、アキちゃんがびっくりしていました。
「ちょ……
畳の上で自分の服に埋もれ、わぁわぁ泣いてる
「泣いたかてお母さんは知りませんよ。ユミちゃん。そんなんしたかて、何もええことあらしまへんえ!」
まだ断固として
ユミちゃんへの説得は失敗しました。
何一つ聞き出せていません。
「おとん、あいつ家に置いておくんか。目覚ましてまた暴れたら、どないするんや」
私も思わず深いため息が
「アレは人を探しているらしいのや。悪い神やない。ミズグチという人間を探してると言うてる。そいつは、おそらく、もう見つかったのや」
着物の
まあアキちゃんが
アキちゃん自身には特にになんの関わりもあらへん
しかし、私がつい
息子には息子の仕事もあるわけやしねえ?
「もう見つかったって、どこでや?」
困り顔で息子が聞いております。
「
「はぁ?」
そりゃそうやろな。私にもまだ筋道立った話など見えてはおりません。
しかし、こういうことは
あの川の神を
「おとん、俺にはまだ、さっぱり分からんわ。そのミズグチていう人を、あの妖怪はなんで探してるんや」
「俺も知らん。しかし、あの神がその男を探しているなら、それと引き合わせれば、助けたことになるやろう。その後のことは、我が家は預かり知らんのや」
そういうものやて、私は
「はぁ?」
すっとぼけた声で、アキちゃんはそう言いました。
えっ。はぁって何や。
「そんなんでええの? その後どうなるか、見届けんでもかまへんのか?」
うん、まあ、そういうことやな。
私が
「そんなん変やないか? もしあの化け物が、そのミズグチさんていう人を殺すとか、
「えっ」
アキちゃんの話に、次は私が驚く番でした。
ええ? そうですか? 私が悪いんやろか?
もし、あの化け物が、なんとかかんとかするつもりやったら、うちの責任なのですか?
そんな……。
それやったら最初から、助けへんほうかよかったですよね?
触らぬ神に
そない思て、私が
そして、座敷の真ん中でまだ泣いていた
「ユミちゃん、心配いらへん。お兄ちゃんがアレ、なんとかするしな。怒らんといてくれ」
そう言うて、アキちゃんがじっと見つめると、その腕の中の
「お兄たん……」
舌っ足らずな甘い声で、ユミちゃんが言いました。
お前、
おとうさん知らんかったわ。
ほんまに我が家では何一つまともではありません。
そない
「ユミちゃぁん、これタヌキ! ぎょうさんありすぎて、俺ひとりやと持たれへんわぁ」
機嫌のええ
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