006:暁雨、早朝に川原を散歩する(13)
化け
それは人間も同じや。
天に許されて生きている人間は、体を保つための食い物を食えばええけど、物の怪は肉体を保てばええというもんではありません。
自分の
物の怪については、何らかの
食うのはともかく、人の精気を吸う化け
人が死に
可愛いものです。
吸われるほうにとっては、ただ可愛いだけでは済まへん害悪があることも、まあ、あるにはある
精気というのは、アレですよ。
ほら。なんというか……。
人と人とが愛し合う時に、布団の中などでやることです。
そんなもん物の怪のせいとばかりは言えへんのやないですか?
そうと知りつつ
「あのなあ、お
出かける
ユミちゃんから、あの化け
「ユミちゃんは
「え。なんでそんな勝手なことを」
思わず
元から約束しておったようで、そういえばそんな話やったやろうか。
それで私は
川であの半分の男を
「お兄ちゃん。うちは今日は用事があって、出かけなあきまへん。お一人で大丈夫どすか?」
心配げに
もう外出の
「大丈夫、とは?」
「あの
どういう意味や、お
なんで俺があんな妖怪一匹のために、助けが要るんや。アホらしい。
口の
そやけど……そうやな。
そういえば私には実は、実体がないのです。
ほんまは、ユミちゃんのことを
私は実は、生きてはいいひんのです。
死んでもおらんのやけど、あの激しかった戦いの終わりに、
おそらく、そうなのやと思う。
私は戻る先を
それがずうっと、
「大丈夫や」
気が立って
すると
根拠があらへんのを見抜かれたんでしょうか。
「もっと
昔から、お
ほんまに余計なお世話なのです。
こちらがお
そんなもん、
言えって? 言えませんよ⁉︎ 言えるわけあらへん。
なんででしょうかね。子供の頃からこの妹には、つい
しょうがないお兄ちゃんやな、ほんまに。
「くだらんこと言うてんと、お前はさっさと出かけたらええわ。俺もやっと一人で羽根をのばして、のんびりできるというものや」
「あらまあ、そないどすか! ほなあの化け
なんでか
確かに
昔はうちも、外出の
しかし今さらです。
もはや
ええ……?
ああ、そういうことか?
それであいつら怒ってんのやな。
俺があの半分のやつを今から自分の
えぇ?
皆さんもそういう目で私を見ておられたのですか?
それは
「
急に
ヒッ。何もしてへんで俺は。
何でお前は急に来るのや。
いきなり
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