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あの時から、気づいた時点から、
おにいちゃんはおにいちゃんでしかない。
少なくとも、この化け物は私に「おにいちゃん」として根ざしてしまった。
その期間が長過ぎた。
だから、私はあの時も今も、あの名前も知らない化け物を、おにいちゃんとしか呼べない。
「…………」
「おにいちゃん?」
その時のおにいちゃんの目は、いつぞやのバレンタインデーに見た時の、静かながらに高熱を帯びた
「……それ、は」
ようやく
そんなおにいちゃんを見たのは初めてだった。
「それは……それは、ああ、そうか、私、は」
吐息が大半を
普段とは明らかに違うおにいちゃんに私が戸惑っていると、おにいちゃんは私を見ないまま、一瞬だけ困ったように嗤って、それからいつもの
「ああ、ごめん、みぃちゃん」
「……」
おにいちゃんがそうだと気づいた時よりも、あのバレンタインデーの時よりも、それまでの中では一番
私の視線にいたたまれなくなったのか、おにいちゃんは私から目を
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