回想 4 袋小路と果《はたて》
1
おにいちゃんが死んだ時、私以外の人間は、暗示で
ただ、暗示がほとんど
だから、はっきりとおにいちゃんは私に忘れていいよ、と告げた。
――本当に、おにいちゃんは何がしたかったのだろう。
見るなの
それはあくまで代表が見ることなだけであって、見ることのみに
強制することで、その反対が行われる傾向とも言える。
おにいちゃんは、私に「いいよ」と、許可しただけだった。
それでも、意識するには十分だった。
「おにいちゃんの言う仮説って何?」
高校二年生になった冬。
私は
おにいちゃんの目的を知ったその時は、おにいちゃんはその時の私でも難しいと思うから、と仮説は教えてくれなかった。
「唐突だね」
おにいちゃんは眼鏡越しに私を見た。
おにいちゃんがいつの間にかかけ始めた眼鏡は、黒縁のシンプルなもので、目が悪くなることがあるのか、老眼か、と私が問うと、イメチェンと返ってきた。
にこにこと笑いながら
……無言で一発だけ
「だって、おにいちゃん。全然説明してくれない」
「……説明する気、ないしねえ」
おにいちゃんはそう言って文庫本片手に首を
「気になるじゃん」
「……そんなに気になるなら、僕のメモを解読してみればいいよ。
生きてる限り、みぃちゃんに見せる気もないけど」
「それ、私が見れない可能性のが高くない?」
「はは、そもそも、単なる
私が目的を知った時には難しすぎるから、とはぐらかしておきながら、実際に教える気は
当然ながら、こちらとしてはカチンと来た。
おにいちゃんはそれを
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