蕾はいまだかたく
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私は何の気無しに
女の子はにこにこと、とても楽しそうに笑って居た。
けれども、
不意に女の子と目が合った。
彼女は少し
心の内に寒さが
喉が渇く。渇いてしまう。
だから、私は次の駅で降りたのだが、
私も私で、
適当に
仮説の実証が
だったのだ。
つい先程、視線を交わした女の子が、べそを
人混みの中で
喉を
「お父さんやお母さんと、
「ん……」
泣き出すのを
「……でんしゃでいっしょだった、おにいちゃん?」
「……そうだよ」
彼女がそう言ってきたのは意外だった。
基本的に印象に残ら無い様に暗示(便宜上)を使って居たから、
今思えば、私の脇が甘かった
「よく、覚えているね」
「あのね、きれいだなっておもったの。すっごいきれいなくろ」
そう彼女は言って、目元が赤い目を細めて笑った。
今泣いた
「……おにいちゃんと、おまわりさんのとこに行こうか」
自然と、
優しいフリで彼女に手を差し伸べれば、彼女は
けれど、掴まれた手に伝わる子供特有の高めの体温は少し心地良かった。
何か、
二百メートルも離れていない交番までの
「おとうさん、おかあさん!」
私の手を
「ごめんね、みぃちゃん」
そう言い
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