『'Ευρηκα（見つけた）

　結局のところ、確かに朧気（おぼろげ）となった記憶の範囲でも私は、屹度（きっと）其（そ）れを成し得た事も、成された事も、なかった。

　今迄（いままで）集めた情報を元に、記憶を手繰（たぐ）って考えた結果としては、当初の私が思えば自暴自棄（じぼうじき）とも思うだろう。

　けれど、藁（わら）にも縋（すが）る心算（つもり）で我々の望む生き血が、何の代替かを推測した結果ではある。

　だがしかし、ならば、其処（そこ）から如何（どう）しろというのだ。

　どうすれば、Ace of cup（聖杯のエース）を正位置にできる。

　いや、其れで満たす事に救いがあるならば、ある意味、童話や民話こそ、私を救い得るのかもしれない。

　――けれども、所有（あらゆる）表象に覆（おお）われ、時を経て肥大化するその内に、今や本当等（など）、何（ど）れ程（ほど）残っているというのだろう。』

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