眼光紙背に徹して
1
おにいちゃんは私の前から、
おにいちゃんが言った通り、周囲はあっと言う間におにいちゃんという存在の喪失を受け入れた。
いや、違う。
おにいちゃんという存在を、根幹からなかったものとして受け入れた。
私だけ取り残して、私にだけ
私には納得がいかなかった。
おにいちゃんのこれは本当に、おにいちゃんの望んでいた
幸い、おにいちゃんが前に言っていたメモはすぐに回収できた。
ノートですらない紙の切れ端の束は、おにいちゃんの部屋とされていたその部屋の片隅に置かれていた。
おにいちゃんの
だが、それにも
手当り次第と言ってもいいような、何ヶ国語にも及ぶメモは、古いと言ってもせいぜいが二桁年以内だろうもので、きっとおにいちゃんが、何度も何度も書き継いで、書き直して来たものだと容易に知れた。
まず、どこがどの言語で書いてあるか、あたりをつけるところから始めるしかなかった。
それから、古めの言語から順に本やネットの情報を手がかりに訳していった。
古めの言語から調べれば、その後に現れるその言語から派生した言語の読解の手がかりになるからだ。
時折
それでも訳したからといって、すぐに理解できるものでもなかった。
今までおにいちゃんとの会話で出た
そうして
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