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それはなんとなく、だった。
予感というには根拠に欠け、女の
「おにいちゃん」
そう呼べば、おにいちゃんはすぐに振り返った。
久々に眼鏡をかけていないおにいちゃんの顔を見た気がした。
もっとも、それは驚きで飾られていたわけだけれど。
「……みぃちゃん」
「半年ぐらいかな、おにいちゃん」
そう言えば、おにいちゃんは、きっとたぶん、戻るように、と言おうとして開きかけた口を、そのままにして一瞬凍りついた。
中学生になった頃から、おにいちゃんが時折夜中に家を抜け出すことには気が付いていたし、その目的なんて、おにいちゃんの正体を知っていれば火を見るより明らかだった。
気にかかったのは、その頻度がいやに不定期だったことぐらいだ。
「……わざわざ記録でもつけてたのかい?」
「んにゃ、そこまではしてない」
そこまでおにいちゃんに時間を
単純に、最後に夜中に玄関の開閉を聞いたのは、まだ暑くなる前だったなと思ったからなのだ。
「今更、止める気かい?」
「そういうわけじゃないよ。そういうわけなら、本当に今更の話だよ」
単に、あの後、気も
「おにいちゃんの様子が変だったから」
「……」
おにいちゃんは妙に冷めた顔をしていた。
だからといって、不機嫌というにはどこか持て余していそうだった。
「……」
「おにいちゃん?」
どちらかと言うと、
おにいちゃんは黙ったまま
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