エルザの趣味
[カインサイド]
子供達を攫われた夫婦の後を追ってギルドをでると、「ねえ、あの二人どうすると思う?」エルザが聞いてくる。
「たぶん、エルザの思う通りの行動だと思うよ」
「そうだろうねえ」アリサも同意する。
予想通り、2人は武器屋に入っていった。「はああっ」っと溜息をついて、
「エルザに頼みがある。フードの付いたローブと、顔を隠す仮面を買ってきて、もしもの時、正体がばれるのは、困る」そう言うと、アリサが、「私、私が買ってくる。」と、言ってきた。
「ダーーメ。アリサに頼むとヒラヒラのピンク系、買ってくるだろ。男は、ちょっと辛いものがあるんだよ。」
「うむむむむっ」
「じゃっ、行ってくる」そう言って、エルザが服屋に向かった。
しばらくすると、エルザが戻ってきた。そして、後悔した「なぜ、僕が行かなかったのか。」
エルザが買ってきたのは、3色の[フード付きのロングコート]ボクシングの選手が着る様なやつだ。ただ、僕のは白で、背中一面に黒い刺繍で昇竜が描かれていた。因みに、エルザは、黒の生地に金の糸で虎。アリサは、赤の生地に白い女神が描かれていた。これで、[夜・呂・死・苦]なんて書いてあったら、まさに、[ヤンキー]である。[これで、いいのか?これで、いいの?・・・。]思わず倒れそうである。[まあ、ヤンキーなんて、この世界には、いないのだが。]
「アリサは、赤色好きでしょ」「うん。センスいいね」っと返事。本当にセンスいいのだろうか。
さらに、ダメ押しがあった。エルザが用意した仮面である。
「カインは、コウモリで、私とアリサはパピヨンね。」どこの仮面舞踏会ですか。
「うん、可愛いね。」っとアリサは満足気である。この姉妹の感覚はただしいのだろうか?
エルザに頼んだのは僕なので、何も言えなかった。
因みに、このロングコートは、後に、強面の冒険者に大流行し、品切れ状態になったのは、言うまでもない。
その後、夫婦は、すぐに折れそうな剣と、安物の盾を装備して、町を出て、森に向かった。誰かがついて行った様だったがスルーして、少し離れて追いかけて行った。
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