告白
{フィリアサイド}
コン、コン。
扉を叩く音がした。「フィリア。私だ。入ってもいいか?」聞きなれた、威厳のある、だが、まだ子供らしい声がした。
「はい。今開けますね。」と言って、扉を開けると、いつもの様に、アースロイド様が立っていた。
この家に来てから、アースロイド様は良く会いにきて下さる。最初は王族の、しかも、仇の息子であるアースロイド様に、緊張と警戒をしていたが、共に話したり、周囲を散歩したりしているうちに、徐々に恋心を持つ様になってきた。
しかし、今日のアースロイド様は、とても緊張しているように見えた。ソファーに促し、紅茶を注ぎ、アースロイド様の対面に座る。「今日は如何されたのでしょうか?」と、笑顔で尋ねると、「まあ、その、なんだ」と歯切れの悪い、だが、何か恥ずかしそうに答えた。
「今日は、フィリアに頼みが合って来たんだ」
「私に頼み事なんて、なんでしょう?」首を傾げながら訪ねた。
「表立って公表はできないのだが・・・私の、私の妃になってもらえないか?」
突然の申し込みに、かなり動揺して、「わ、私など、奴隷も同様の身分でございますれば、そのような。「私は、フィリアがいいのだ。」」私の返事を遮り、大声で言った。
「身分など関係ない!私はフィリアが好きなのだ!妃になってほしいのだ!」
「たしかに、立場上公表することは、できないが、妃となって、私を支えてほしいのだ。」
「フィリア、好きだ!愛してる!」
その言葉を聞き、両手で口を塞ぎ、次の瞬間、目から一筋の涙が流れた。
恋心は持っていた。しかし、もう貴族ではない自分には、資格がないと、諦めていたからアースロイド様からの告白が嬉しかったのだ。
「私もアースロイド様が大好きです!私を妃にしてください。」そう言って思わず抱き着いた。そして、それをやさしく受け止めるアースロイドだった。
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