どうしてこうなった

「むむむむむ」


頬っぺたの片側を膨らせ、不機嫌そうに剣の素振りをしていると、遠くでアースロイド様と姉様が仲良く歩いていた。腕を組み、本当に幸せそうな姉様の笑顔。


「そりゃ婚約者になったってのは、聞いたけどね。弟の前でイチャイチャってね。」一人呟いていると、後ろから、一人の騎士が近寄ってきて、「ハハハハハ」大声で笑った。アースロイド様の護衛の一人で、新友でもある、クラリス様だ。槍の腕は国内最強で、次の剣聖候補である。


「なんだ、カイン。姉上を王子に取られてヤキモチか?」


2メートルあろうかとも思える長身で、黒い短髪、髪と同じ色の目をしたアースロイド様と同じ黒い鎧を纏った騎士である。


「そんなのでは、ありません」そう言って、素振りをしていると、「そうだなあ、カインにも嫁を紹介してやろううか?」


「えーーーーっ」その一言に、びっくりして、思わず剣を落として、クラリス様の顔を見上げた。


「ぼ、僕には、まだ、早いですよ。」


「別に婚約者ぐらいいてもいいだろう。」って、サラッと何言ってるんだ、この人は。


「そうだ、俺の妹を、やるよ。2人いるが両方ともなかなかの美人だぞ。今度連れてきてやるよ。」


もしかして、それって、決定ですか?2人って、二人ともってことですか?


「あわわわわ。」と、変な声を言いながら、顔を赤くして、蹲ってしまっていると、アースロイド様と姉様が近ずいてきて、「どうしたのだ。クラリス。」


「いやなに、カインに俺の妹を嫁にどうだ?ってはなしですよ。お二人に毒されたようですので。」


それを聞いた姉様は、顔を赤くして、アースロイド様の後ろに隠れてしまった。


「いえっ、その様なことはないのですよ、姉様。」僕は慌てて弁解しようとすると、アースロイド様が、「ああっエルザとアリサのことか。良かったなあ二人とも、すごい美人だぞ。」


その言葉に、まだ見ぬお嫁さんに、思いを寄せて、顔がにやけてしまった。そのふやけた顔を、姉様に指摘されたのは、言うまでもない。






後日、アースロイド様とクラリス様さまが、二人を連れてきてしまった。

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