夫婦の始まり
レギオン宅を出て、森を抜け、しばらくすると、町に着いた。時々買い物に来た事もある、家から一番近い町[アルフレッド]の町だ。
「カイン様、もう、夜も遅いですし、宿を探しましょう」
「うわーーい、私、お腹すいたよー。」エルザは右腕を組みながら、アリサは左手を引っ張って、町中を歩き、宿を探す。「じゃあ、いつもの[浪漫亭]にしようか。」そう言って、慣れた街を歩いて行き、一軒の宿に着いた。見た目は、銭湯の様な佇まいだが、部屋もきれいで、風呂もあり、何より食事が美味い店である。
中に入ると、賑やかに潤っているが、時代のせいか、眼付の悪そうなのも、何人かいる。この町には、ギルドもあって、大抵は[冒険者]なのだが、貴族崩れのならず者も多い。
「あらっ、カイン達。今日は止まりなのかい?」カウンターの恰幅の女性が声を掛けてきた。この、宿の主である、マリナさんだ。
「はい。これから旅に出るので、その準備に2,3日止まれせて貰いたいのですが。」
「そうかい。いいよ。それじゃ、部屋は2部屋でいいね。」と。言ったとたんに、「いいえ。1部屋でいいです。私たちは、夫婦ですので。」って、ちょっと、アリサさん、ついさっき夫婦になったばかりで、まだ、心の整理がついてないんですけどーーー。
「あの年で、嫁持ち?」「しかも、2人かよ。」「いいなあ。俺なんて40過ぎても一人なんだぜ。」
周りの雑音はスルーして、「そうかい。じゃ、ダブルの部屋でいいね。食事はどうする?部屋がいいなら運ぶけど・・・。」「それで、お願いします。」「それじゃ、銅貨10枚だね。」
僕は、お金を払い、3人で部屋に向かった。これからの話をしたかったからだ。部屋に入ると、改めて、これからは夫婦であり、いっしょの部屋で寝起きする実感が出てきて、恥ずかしさに、顔が赤くなった。「改めて、よろしくね。僕の、お嫁さんたち。」「よろしく、お願いします。旦那様。うふふふ。」エルザが言って、「でも、使命をはたすまでは、避妊しましょうね。うふふ」と、アリサ。ちょっと、眼が怖いんですけど。
「ところで、アリサ、音声遮断の魔法展開してくれないか。話を聞かれたくない。」「OK、わかったわ。」そう言って、音声遮断の魔法を展開する。「これから、どうするの?カイン様」エルザが聞いてくる。僕はしばらく考えて、「まず、ギルドに登録しようと思う。資金はあるけど、できるだけ自分達で稼いで生活しないと民の事は理解できないだろうし。ギルドメンバーなら、旅をするにも都合がいい。」
「そうですね。今の現状を知らないといけませんしね。」
「いずれ、兄上は、ギルドも潰すだろうけど、それまでは、利用させて貰おう」
そして、その後3人で、明日以降の話し合いをして、寝ようとして、事件は起こった。
2人とも、服を脱ぎだしたのだ。眼の前に、可愛い妻が裸でいるのだ。夫として、答えねばならない。
「エルザ、アリサ。辛い事ばかりになるだろうけど、僕の妻で、あり続けてくれ。好きだ。愛してる。」
「エルザのすべてはカイン様のものです。身も心も貴方の物ですよ」「生涯。カイン様に尽くします」
「「愛しています。カイン様」」
そして。3人の初夜は更けていった。
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