地獄の始まり

[アースロイドサイド]


コツ、コツ、コツ、


王城の通路を1人の男が歩いている。いかにむ、不愉快そうな態度の、その男は、どことなくアースロイドに似ているが、明らかに違うには、その、だらけ切った体系と、にやけた顔付きであろう。そう、この男こそが[ジュリアン]アースロイドの弟である。


「一体なんの用だと言うのだ。泣き虫王子め」


そう、アースロイドが、部屋に呼び出したのだ。「兄上、入るぞ」ノックもせずに、部屋にはいる。ジュリアン。「いったい、何だというのだ。これでも、民の申請で、忙しいのだか。」太々しい態度である。「民の申請?貴族との金の相談の間違いではないのか?」「そうともいうな。」そういうと、ハハハっと、笑い飛ばし、「この世は、権力しだいなのだ。権力があれば、金、女、名誉すべて、思いのままだ。使い切れない金を使い、最高の女を侍らせ、思いのままに生きる。最高の人生じゃないか。兄上も、いつまでも泣いてばかりいないで、この快楽に、浸かればいいんだ。最高だぞ。」そう言って、ニヤケタ顔を近ずけた。


「そうだな。これからは、少し真似るとしよう。」そう言って、腰の剣に手を掛け、一太刀を浴びせる。ジュリアンの首と胴が離れ、床に首が落ち、頭ない首から血が噴き出し、床に倒れる。そして血だまりを作った。


アースロイドは、その血を、顔に塗りたくり、落ちた首の髪を掴んで、「良い夢を見ながら死ねてよかっただ


ろ。わはははは。」そう言って、部屋をでる。次に向かうは、謁見の間である。




謁見の間。国王と近衛騎士。貴族の一部が、くだらない話で集まっている。


バーーーーンと、大きな音と共に、血塗れのアースロイドが入ってくる。「何事か?アースロイド様、お下がりください。」近衛騎士が、数名集まってくる。その時、上空より黒い鎧を纏った騎士が現れ、着地と、同時に一刀両断で切り付けた。そして、アースロイドの後方にも、魔導士が現れ、残った貴族を焼き尽くした。その場は、血の匂いと、断末魔と、人の焼けた匂いで充満していた。後は国王と王妃だけである。


「アースロイド。気が狂ったか」


「なあに、貴方達の真似をしているだけですよ。気に要らないヤツを殺しただけです。こいつもね。」そう言って、ジュリアンの首を、王妃に投げ付けた。


「きゃーーーーっ、ジュリアンーーーー。」そう言うと泣きながら跪いた。「涙が残っていたのですね。ハハハハ」と、笑い飛ばした。


「いったい何が望みだ。王位ならくれてやる。」


「私の望みは、お前達の命だ」


そう言って、2人を両断し、切り落とした。そして、高らかに、残った貴族達に宣言する。


「この時より、このアースロイドが、この国の王である。これからは、俺の言葉が絶対で、逆らう者は、貴族だろうと、平民だろうと、関係ない。一族すべて、皆殺しだーーー。覚悟しておけ。わははははは。」


返り血を浴び、真っ赤に染まった、笑い顔と、その姿に、魔王の姿が重なった。


地獄の始まりである。

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