戦場
ここは、戦いの終わったメリダ領の荒野。およそ5000人の屍が所せまく転がっている。
中には、頭を切り裂かれ脳髄がこぼれた者、胴体が上下に切られ内蔵がはみ出た者、剣が眼から後ろに突き刺さりそのまま倒れた者などあたり一面が死体の絨毯のようで、血と腐った肉の匂いで正に吐きそうである。そんな中僕達はダリル=メリダ邸の屋敷に向かう。
屋敷の中も外とそれはど変わらない状態であった。「・・・・ひどい・・」「これじゃ・・助かった人はいないんじゃ・・・」
そんなことを言いながら屋敷内を捜索する。ほどなく地下に進む道をみつける。何故か一本の剣が印のように刺さっていて見つけられた。「クラリス様の印だよなあ」
地下に進むと一か所明かりが付いていた。「誰かいるのですか?」明かりに向かってエルザが声をかける。「僕はカイン=ドラグナイトっていいます。誰かいるのですか?」その呼びかけに女性の声が答えた
「カイン=ドラグナイト様ですか?」
「はいっ。そうです。」そして奥から2人の女性と2人の子供が現れた。4人とも村人のような恰好をしているが気品のある立ち振る舞いであった。
「私はダリル=メリダの妻ケイトです。そして息子のリックと娘のルーラです。」そう言ってスカートをつまんでお辞儀する。
「よくご無事で、お体は大丈夫ですか?カインです」「妻のエルザです」「同じく妻のアリサです」
僕達は簡単に挨拶を交わす。
「あのう~僕の名前をご存じの様でしたが・・・」そう尋ねると「主人より聞いておりました。戦いが始まったら地下に隠れてカイン=ドラグナイト様に頼って支持を受けろと、そして私達3人とメイドの4人でここに隠れておりました。」「アースロイド様はこれの事を言っていたのですね・・・。あっごめんなさい。仇の話をして無粋でした」そう言って謝罪すると、ケイト様が手で遮り「大丈夫です。恨みがないとは言えませんが何故この様なことがあったのかは主人より私達親子は聞いております。未来のために主人の命が必要だったと・・・だから誤らないでください。主人はこの国のために命をつかったのですから・・・」
ダリル=メリダ様。貴方は素晴らしい領主であり武人でありますっと心より冥福を祈った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます