クラリス夫婦の最後
城に入り奥に進む、僕、エルザ、アリサの三人。全ての扉は開いており、しばらく進むと二人の人影。
「「お兄様、お姉様・・」」懐かしい顔に、顔が緩むエルザとアリサ。そうこの二人はクラリス夫妻である。
「久しいな・・・エルザ・・アリサ・・」
「二人とも綺麗になって・・・もう、立派なお妃さまですね・・」夫妻が声をかける。
すると、エルザが「カイン様。私たちは少しお兄様たちとお話をして行きますゆえ、先にお進みください。」そう言って歩みを止める。
「・・・わかった・・二人ともゆっくり甘えるがいい・・・」
「「・・ありがとうございます・・」」
そう言って僕がクラリス様とすれ違うとき「心ゆくまで陛下たちと話されよ・・」クラリス様が囁き、頷いた。
カイン様の姿が消えた時、エルザとアリサが駆けつけ、私と妻にしがみついた。「・・・うわああ~・・お兄様~、お姉様~・・」「・・・あいたかったよ~・・」
「おいおい、まだまだ甘えん坊なのか~・・もう、おまえたちは妃なんだぞ」
「はいはい・・そんなに泣いていると、お化粧が落ちてしまうわよ・・・」そう言って、まるで幼子をあやすように、話しかける。
「「・・・うっ・・お兄様もお姉様も辛いお勤め・・ご苦労様でした・・」」
「・・うむっ・・私たちのなすべき事は・・これで終わりを迎える・・・後はお前たちの時代なのだ。カイン様と共に、良き国をつくるのだぞ・・・」優しい笑顔で二人に語り掛ける。
「はいっ。お兄様たちの志を引き継ぎ、よき国にしてみせます。」二人も笑顔で返す。そんな兄妹を微笑ましく見つめる妻の姿・・・まさに家族の姿である。
「エルザ・・アリサ・・二人は私達夫婦の誇りだ。」そう言って肩を押してエルザたちと間をあける。
「だから・・・そろそろ私らを送ってくれないか。」そう告げる夫妻の顔は、実に清々しかった。
そして、間合いを開けるエルザとアリサ。二人も笑顔である。
「私達に後悔はない!・・・エルザ、アリサ、後はまかせたぞ!」「「・・はいっ。お任せください!」」
そして、次の瞬間。エルザの槍がクラリスの心臓を貫き、アリサの風の刃が夫人の首を跳ねた。
「「・・・安らかに・・お休みください・・・」」二人は静かに冥福を祈った。
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