最後の会話

[アースロイドサイド]


メリダ領。一面の荒野に広がる10万の兵。その、先頭に黒の鎧を纏うアースロイド。方や、5千の兵の先陣には、ダリル=メリダ。双方、睨み合いの中「よく、逃げずに来たものだ。褒めてやるぞ。ダリル。だが、私に逆らう者は、死しか残ってないぞ。」


「数を集めれば勝てると思っている、大馬鹿国王に教えてやるぞ。そんな者は卑怯者のやる事だということをな。」


「よく言った。では、私自ら、ダリル。貴様に死を授け、その後、兵どもを皆殺しにするとしよう。」


「受けてたとう」そう言って、お互い、兵を抑えて互いの軍の中央に歩み寄る。


「剣で私に勝てるつもりか?」アースロイドが問う。


「やってみないと、わからんよ。」


そして、ダリルは、中央に剣を構え、アースロイドは下方下段に構える。


「では、始めよう!」


そう言って、上段から切り付けるダリル。その剣を、下方から跳ね上げ、返す刀で切り付けるアースロイド。そして、剣を横向けに受け止め、跳ね飛ばすダリル。そして、再度詰め寄り、鍔迫り合いの形になった。


そして、小声ながらに、友との最後の会話が始まった。


「よく私の考えが分かったな。」


「何年、貴様の友をやっていると思っているのだ。お前の考えなど、お見通しだ。」


「すまんな。未来の民のために、貴様の命が必要なのだ。」


「フっ、最後には貴様も死ぬつもりであろう。なあ、アースロイド。」剣の打ち合いの中、会話が続く。


「貴様の言う魔王になるには、友でも平然と殺す冷淡さを持って、真の恐怖による統一がなされるのであろう・・・・。皆が笑って暮らせる未来が築けるなら、私も本望、我が命。持って行け!」


「約束しよう。必ず、素晴らしい世界を築くと。我が弟。カイン=ドラグナイトが築き上げると。」


「では、先に行くとしよう。」


「うまい酒を持って、地獄に会いに行くから待っておれ。」


そして、二人は、間合いを開け、互いに構え直し、その後、一気に交差する。


「後は、任せたぞ。アースロイド。」


「ぐはっ」っと口から血を吐き、その場で倒れるダリル。それを、遠くで見る、もう一人の友、クラリス。「安らかに、眠れ、ダリル」心でそう祈った。


「ダリルは死んだ。残りの者も、皆殺しにしろー」


アースロイドの号令と共に、虐殺が、始まった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る