大聖堂焼き討ち

大聖堂に到着したアースロイドの眼には異常な風景が広がっていた。大聖堂の周りを信者達が取り囲み守っているのである。俗にいう{肉の壁}である。その数2万とも3万とも言える平民や奴隷たちである。


「なんという事を、戦いに関係のない者達を・・・卑怯な・・・」幹部達が憤りを表す。


「アハハハハ。戦いに卑怯もへったくれもあるか!勝てば良いのだ。なかなかやってくれる・・・」アースロイドが笑って言い放つ。


「ですが、実際これでは突入することが叶いませんぞ。」


アースロイドは暫し考え「大聖堂の民の周りを取り囲み水や食料を絶て!」そして兵糧詰めにすることにしたのだった。






兵糧詰め開始から3日。


未だに多くの信者が祈りを捧げ耐えている。その場に司祭や精霊騎士たちが現れ檄を飛ばす。「多くの信者達よ、今は苦しいだろうが耐えるのだ。これは神と魔王との聖戦である。我らが神のためにも負ける事が許されぬ戦いである。神の名の元に必ずや魔王を倒してみせよう、そのために力を貸してくれ。」


そう言って苦しむ民の内側でオーグは肉や酒を食い漁っている。それをそばでみる奴隷の女や薬漬けの女が喉を鳴らすと、「なんだ、食いたいのか・・」そう言って奴隷達の側に肉を一枚投げ捨てる。「いいぞ・・・食え。ワハハハハ」たった一枚の肉に集る奴隷達。その姿をみて笑うオーグ、まさに狂っているとしか思えない景色である。


「しかし、大司教様これでは食料が持ちませんぞ」


「構わん、どうせアースロイドも攻める事などできはしないのだ。向こうも食料がなくなれば撤退するほかなかろう。」そう言って高笑いを決めるのである。




「そろそろか・・・・」アースロイドは意を決したように指示をだす。


「これより、大聖堂の周りに油を撒き火矢にて焼き討ちにする。準備せよ!」なんという作戦なのか、そんな事をすると民は全て焼き死んでしまうではないか。


「お待ちください。そんなことをなさると多くの民の命が・・・・」幹部の一人が意見する。


「それがどうした。他の国王は知らんが我は魔王ぞ、歯向かう者は容赦はない。それに、これは精霊協会が望んだ結果だ。望み通りに神の元に送ってやるのだ感謝されると思うぞ。ワハハハハ」




そして、{大聖堂焼き討ち}が始まった。


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