生臭坊主の策略

「だいしさいさま~たいへんです~」


数名の司祭達が慌てて大司祭の部屋に駆けつける。


「どうしたというのです?そんなにあわてて。」大司祭のオーグが怪訝な顔で尋ねると「・・・魔王が・・・アースロイド国王が攻めて参りました・・・」


「・・・・そんな・・・・」オーグは信じられないっと言った顔で「・・この精霊協会に攻め入ったと?・・・」


「はいっ、しかも全軍を引き連れ攻めてきた様子、いかかいたしましょうか?」


「精霊騎士と冒険者を各協会に配備していたのではなかったのですか?」オーグの顔がみるみるうちに青ざめて変わっていく。


「・・それが・・・精霊騎士も冒険者も全て打ち取られ各協会は潰され残っているには大聖堂だけでございます。」それを聞いたオーグは慌てふためいて、必死に対応を考える。{不味い、不味いぞ。このままでは協会は潰され私の命も・・・いったいどうすれば・・・}散々考えて。{そうだ・・・信者だ・・・信者達を盾にして逃げればいいじゃないか}


「極悪非道の魔王に正義の鉄槌を下さねばならない様です。それには信者達の協力が必要です。至急信者達を集めるのです」


「「「承知致しました。」」」


そして大聖堂の前に信者を集めだした。そして多くの信者の前で声を荒げる。


「我が崇高な信者諸君、もう知っていると思うが、魔王アースロイドが、この神の住む気高き大聖堂に攻め入るなど、神をも恐れぬ所業にでた。私たちはこの場を何としても守らねばならない。・・・・だが・・・・私達だけでは守る事はできないのです・・・」オーグは涙を流し民に訴える。「・・・お願いします・・・信者の皆さん、・・・皆さんの力を貸してください・・・皆さんの神の居城を守ってください・・・私達を守ってください~」そう言って深々と頭を下げるが、その顔はニヤけていた。{アースロイドよ貴様はこれで攻める事は出来ぬよ、・・・人民は私の見方だからなあ~・・ハハハハハ}






そして行軍中のアースロイドにクラリスが声を掛ける。


「アースロイド陛下。なにやら様子が可笑しいと思いませんか?」


「うむっ」アースロイドも気が付いていたようでクラリスの言葉に頷いた。


「民がいないのではないか?」アースロイドの言葉に今度はクラリスが頷く。悪い予感がするのである。


「どうせ、オーグの生臭坊主が何か企んでおるのだろう・・・構わん、全てねじ伏せてくれよう・・・」


そう言ってアースロイドは大聖堂に向け行軍を続けた。


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