魔王出陣

メリダ領決戦から数年後。とある場所に1人の男が部下数人を連れ薄暗い通路を歩いている。小太りのニヤけた顔で如何にも悪そうな顔つきだが、その男は法衣を纏い、付き従う者も同じような服を着ている。


「オーグ大司祭。アースロイド様はこの国の殆どを掌握された模様、このままではここにもやってくるかと・・・」部下の司祭の一人が怯えながら進言してきた。


「案ずるでない、如何に王国といえど精霊協会を敵に回すことはするまい。そんなことをすれば全ての民を敵に回す、神をも恐れぬ所業。そこまで馬鹿ではあるまいて。ハハハハハ」「そうでございますな。精霊協会は盤石ですな」そんな会話をしながら。今度は地下に進む。




地下では協会に逆らった男達が鎖で繋がれ、番人によって暴行を受けている、そしてある者には目の前で妻や娘を麻薬付けにして犯し、その姿や喘ぎ声を聴かせる。「おい!・・やめろ~・・・やめてくれ~・・・」「いやっ、・・やめて・・あなた・・たすけて~・・」


「ああっ・・・くすり・・くすりを・・ちょうだい・・・」




そんな悲鳴や怒号が飛び交う部屋を通って最奥の部屋へ向かうオーグ大司祭。


「今日は調子がいいから5人ほど連れてこい」そう告げて部屋にはいる。しばらくすると5人の若い娘たちが入っていった。皆眼の輝きはなく、全ての希望を失った眼をしていた。


「・・・ああっ・・・うふっ・・・もっと・・・ああ~・・」


中に入った娘たちの喘ぎ声が響き渡った。


ここは精霊協会の大聖堂の地下であった。






所代わって、ドラグーン城、謁見の間。


「これより、俺は精霊協会に攻め入ることとする」アースロイドの一言にクラリス以外の幹部は驚きを表す。「お待ちください。協会は今や民の支えとなっております、そこを攻めるなど人心が離れまする。何ともご再考を・・・」


「ワハハハハ、民の心の支えだと・・・笑わせてくれる。今の協会など貴族に劣る。金はため込み至福を肥やし、気に要らぬ者は牢にいれ、女を犯し薬で言う事を聞かせる、そんな協会が支えだと・・・」


その言葉に誰も反対はできなかった。


「・・良いな。これより精霊協会を攻め入り、ぶっ壊す!・・・出陣じゃ!」




アースロイドは全軍を率いて精霊協会殲滅に向かって城を後にした。

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