新しい拠点、希望の砦

[カインサイド]


今、僕達はメリダ領から帰って砦建設予定の森の入り口から暫く歩いた所にいる。目の前には霧が立ち込め道を塞ぎ視界もなくなって、まさに迷いの森である。


そこに僕とエルザ、アリサ、アリシアと後5人の冒険者が続く。この5人はアリシアが選んだ最初の5人だ。


「たしかにこの霧じゃまともに歩けないよね・・」アリシアの一言に一同頷く。「じゃアリシア。首飾りをかざして!」アリサの言葉にアリシアが頷き、青い首飾りをかざすと霧が割れるように一部が晴れていく。


「「「おおお~」」」歓声と共に道が現れて奥に進んで行く。




森の中心部は広大な草原となっていて川も流れていて、その広さは王都に匹敵するほどで十分に人が生活できる広さであった。


「・・・ひっろ~い・・・」


「よく見つけたねこんな土地・・・」そう言って周りを見渡す5人とアリシア。


「見つけたんじゃなくって・・・昔・・練習で燃やし尽くした後なんだ・・・アリサがね・・・・」


「・・・ひど~い・・私だけじゃないでしょ・・エルザだってカイン様だって大木切りまくっていたじゃない・・・」アリサが頬を膨らます。「「ごめん・・ごめん・・僕達が練習で使っていたところでね、その後放っていたら草が生えていい感じになったんだ・・」頭を掻きながら照れ顔で話す。


「これだけの広さを使っての練習ってどう~よ~」呆れ顔のアリシアと5人の冒険者である。「一応木材は隅においてあるから好きに使っていいよ。ただし、ここはまだ魔物が出るから気をつけてください。」アリシアが頷いて「昨日メリダ領に行って来た。数日後にはメリダ領からの第一陣が到着する。そして、砦の基礎を作って貰うから、あんたたちは、しっかり皆を守るんだよ!」そう言って檄を飛ばす。




そう間もなくメリダ領からメリダ夫人を筆頭に多くの人々がやってきて、ここが新たな拠点となる。兄上、姉上の望む未来への一歩である。「・・・カイン様・・いよいよ夢が現実になっていくのですね・・・」広大な草原をその眼にエルザが囁く。その眼はアリサと共に輝いていた。


「・・・・そうだ・・・・民が笑って暮らせる国への礎の始まりだ。」


僕の心も希望に満ちていた。






そして、数年後。長く続く戦い、または虐殺の日々は最大の山場を迎えることになる。




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