人質救出(アリシア登場)

森に入ると、そこは、鬱蒼としていて、薄暗く、所々日の光がこぼれていた。「あの二人の居場所わかるかなあ」そう言うと、アリサが答える。「この先にいるけど、何か変!」怪訝な顔をしていると、「オーグ10体ぐらいと人間が5人。あと、ワイバーンが1体いるよ。」明らかに、おかしい。只の平民夫婦に対する様子じゃない。「しばらく様子を見てみよう。」


夫婦の側に近ずくと、その夫婦を守る様にオーグと戦う一人の冒険者らしき姿があった。オーグ10体に勇敢に戦う姿は、明らかに高ランク冒険者だったが、その顔に見覚えがあった。「受付の、お姉さんだ。」


その服装は、秘書っぽい姿ではなく、冒険者の姿であった。「やっぱり、お前が出てきたなあ。アリシア。」盗賊の頭らしき男が声をあげる。「この屑どもが、その子達を離しなさい。貴族の犬め。」そう言って、盗賊達に殺気を放つ。「いいぜ。返してやっても。俺たちの目的は、アリシア。お前だからなあ」「?????」「貴族の、お偉いさんが、お前を気に入ってなあ。性奴隷にしたいんだってよ。現ギルドマスターにして、貴族に従わない元Aランク冒険者の、お前をな。」なるほど、アリシアを釣るために、子供を人質にしたってわけだ。腐っているぞ。こいつらも。雇った貴族も。「さあ、どうする。お前なら、オーグも倒してしまうだろうが、このガキの事はどうするんだ。」「うへへへへ」っと薄ら笑いを浮かべ、アリシアの身体を見定める盗賊達。「頭。先にいただいてもいいんじゃないですかい。」涎を垂らす者までいる。「だめだ。処女は、差し出さねえとな、それに、お前達だと、気持ち良すぎて、壊しちまうだろうが。」


「さあ、どうするアリシア!。性奴隷になるのを受け入れるか?断れば、こいつら地獄行きだぜ。」


怯える子供達、跪く夫婦の姿に、歯を食いしばり、口元から血が流れる。そして、剣先が下がっていく。




「この腐れ外道が。」エルザが呟く。


「アリサ、霧を起こして、その間に夫婦を頼む。エルザは、子供達を。僕は、オーグを、すべて倒す。」ロングコートを纏って、仮面をつけ。そして、一言。「助けるぞ」「「了解」」




あたり一面に霧が発生し、夫婦が、その場から消える。子供達を捕まえていた盗賊は、気絶させられて子供達も消えて行った。そして、何かを切り伏せる音だけを残し、アリシアも、また消えて行った。


そして、霧が晴れた頃、その場には、10体の、オーグの死体と刺繍入りのロングコートを纏い仮面を付けた3人の姿があった。

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