カイン出陣
大聖堂の戦いから一年。
迷いの森の中心は巨大な町に変わっていた。人口は10万にも上る王都にも引けをとらない規模の町である。
そこは、全ての決定権が民にあり。各代表の頂点にカインがいた。
多少のいざこざは日常的にあるが、冒険者たちが仲裁に入ったりして、それでも、笑って暮らせる街になっている。
町の中心には、議事堂があって日々話し合いが持たれている。だが、今日の議題は最も重大な事案であった。
「・・・カイン殿・・・それでは、いよいよ王都をせめると・・・」代表の一人が尋ねる。
「そうだ!我々は力をつけ、最早王国軍にも引けを取らない戦力を有している。いよいよ、我々が全ての民を恐怖から解放するときが来たのだと思っている。なれば、速やかに議会の承認を頂きたい。」
「しかしカイン殿・・・未だ王国の軍事力は大きく強大でございますれば・・・」各代表は心配なのであろう。たしかに迷いの森にいれば安全で快適に暮らせるのである。わざわざ戦わなくてもっと考える者もいるだろう。だが、ここでカインの言葉が後押しする。「この国には、まだまだ大勢の苦しむ民がいる。その者たちを見捨てて自公の保身に入ることは、かって、貴族どもが皆にしていた事と同じではないか。私はこの国自体がこの町のように笑える場所にしたいのだ。皆、わかってほしい・・・」
「カイン様の頼みじゃ引き受けるほかないんじゃないかい。」代表の一人であるアリシアが力沿いをする。
「大丈夫。おそらく誰一人として死ぬ事にはならないから・・・」カインの言葉の意味に首を傾げながらも「カイン様の頼みならば・・・」っと議会の承認を得た。
そして、数日後。
迷いの森の霧が晴れ、中より軍勢が現れる。冒険者と、新たに結成された騎士団たち。その数、約5万である。そして、その先頭には、仮面こそつけてないが、刺繡入りのロングコートを纏ったカイン。エルザ。アリサの仮面舞踏会3人の姿があった。
「・・・お待たせしました。兄上、姉上・・・今こそ役目を果たすとき・・参ります・・・」
互いに眼を配らせ、頷き覚悟を決めるカイン夫妻であった。
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