16Dead『脳内チップ』
アレックスはドアから出て来た瞬間、ベルゲザズに銃を撃った。
だが、
「フン、甘いな、俺は脳内にチップがあってな、目に入ったものは自動的に避けることが出来るんだ……まあ先程の粉は凄かった、あれと同時に撃ったら当たってたかもしれないが……」
と言って全く傷もないでニヤニヤ笑いながら立っていた。
「そっそんな……バカな……」
「フン、判断ミスだな……だが助かったよ、お前には俺を倒す手段はない」
と言いながら掴みかかろうとした。
瞬間的にアレックスは避けることが出来た。
だが
「お前以外にももう一人いることを忘れたか!!」
と言ってベルゲザズはレベッカの顔面に掴みかかり持ち上げた。
「ぐががあああああ!!」
とレベッカは悲鳴を上げていた。
「まあ俺はまだ強化されてないから顔面を潰すことは出来んが……こいつを気絶させることぐらいはできる!! お前らを再起不能にしてからこの銃で撃ち殺すことにするよ」
と言ってそのままレベッカを思いっきり投げて壁にぶつけ
「ぐがあああああああああ!!」
レベッカはそのままぐったりして気絶した。
「レベッカあああ!!」
アレックスはレベッカに気を取られた瞬間
「どこを見ている!!」
と言ってそのままベルゲザズに関節を決められて動きを封じられた。
「ぐあああああああああああああああああああ!!」
激しい痛みのせいでアレックスは悲鳴を上げて動けなくなっていた。
「フン、これは余裕だったな、お前らに幸運はもう来ない! お前らに希望は来ない!! 今全てここで途絶えるんだ!! 娘は我々の研究素材にさせてもらう!!」
「お! お前ら!! 自分の親族をモルモットにして何も感じないのか!!」
その言葉を聞いてベルゲザズは
「はいいいい? 自分の脳にチップを入れてる時点で私の脳がぶっ飛んでいるのは分かりきってることだろ? それにモルモットでは限界がある、やはり人間の方が研究材料に適してるんだ! それに動物と違い人間はそのまま兵器にもできるんだ! これってこの国で言う一石二鳥ってやつじゃないのかなぁああ!! ああ!! 日本にも我々を理解してくれることわざがあるだなんてええええ!! 全くいい国だよここはああああ!!」
と言って悦に浸っていた。
それを聞いてアレックスは
「糞が!! 狂ってやがる!!」
「ハアア!! 結構なことだ!! 賢い人間はこうでないとなああ!!」
そう言ってそのまま腕の関節を
ゴキイイ!!
とはずした。
「があああああああああああああああああああああああ!!」
「ハハハハハハ!! もがけもがけええ!! そのままもがいていろ!! これでお前も再起不能だあああ!!」
そう言って銃を取り出した。
だが
「おっと! その前に、念には念を入れて番犬でも呼ぶかな!! こいつらも呼んで操っておけばお前らに反撃の余地は与えられない!! その上お前らをゾンビにして操ればもっとこの世界は奪える可能性が高くなる!! そうすれば我々の勝利は確定だからなああ!!」
と言ってボタンを準備した。
「おい! 番犬を出せ、そうだ、こいつらを感染させて戦力にするためにな!」
と言ってニヤニヤしていた。
アレックスは
「それは一体……そのボタンは一体なんだ……操ると言ってもボタンは1つだぞ……」
と言って時間を稼ごうとした。
(その間にあいつらがアンジェリスを助けてくれれば!! 頼む!! 逃げてくれよおおお!!)
と考えてのことだった。
それを聞いたベルゲザズは
「ふむ、我々の研究の成果を聞きたいのかなああ? まあいいだろう!! 冥土のみあげに教えてやるよ! これはな!! さっきも言ったように電波を放つボタンではある! まだ開発段階だから完全完成とは言わんが……これを使って電波を送る! しかもその電波は押した人間が発生させた電気信号を読み取りその人間の防衛本能に反応させてゾンビを動かすことが出来るんだ! 今は防衛に従って危険が及んだ際に生じる人間の微弱な電気信号で守るために攻撃してくれることと押した人間には決して噛まないという命令しか聞けないが……でもよく出来てるだろおおおおおおお!!」
と言って笑っていた。
アレックスは
「なるほど、それが完成すれば考えたことをゾンビ共に直接命令を後れてそのまま操ることが出来るのか?」
「そうだ! そうだとも!! 凄いだろ!! 我々は進化し続けてるんだよ!!」
と言って銃を向けた。
「そして今からお前もそうなるんだ、そうなる運命に立たされている、私を守るためにな!! そしてそこの女も同じだ!!」
そして銃をアレックスに向けた。
「時期にゾンビ犬もここにやって来る、今の間に殺して噛ませる準備でも整えようかな……それとも悲鳴を漏らしながら噛まれて死んでいく姿を堪能するか!! いや! やはり今殺す!! 油断は禁物と言う言葉がこの日本にはあるらしいからな!! その言葉に従わせてもらうよ!! では! さらばだ!!」
と言って引き金に指を当てて
パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
と銃声が響いた。
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4人は廊下を戻ってゾンビたちが死んでいる階段を降りて行った。
「これ!! 本当に死んでるでしょうねええ!! 何でこんなに大量にいるのよ!! 怖いわよおおおお!!」
と言いながらアンジェリスは泣いていた。
望は
「大丈夫じゃね? 起き上がるならもうとっくに起き上がってるだろ?」
と言ってゾンビが生きていることに対して絶望していた。
(はあ、どうして俺はこうも上手くいかないんだ……さっきのゾンビだって噛みそうになったらゾンビはすぐ死ぬし……糞う)
と悔しそうにしていた。
そして
「大丈夫だよ、和子ちゃんも私もしっかり見たけど皆頭を打って血を流してるしピクリとも動いてないよ、多分希咲が押したことで皆階段の角に上手くぶつけたんだと思う」
「何その奇跡、怖い」
和子のその言葉を聞いて望は普通に引いていた。
そして、階段を降りて行く度に
「血で濡れてるから気を付けて歩いてね」
と言った。
すると
「があああああああああああああああああああああああ!!」
とアレックスの声がした。
「!! これ!! アレックスさん!!」
それは尋常じゃない悲鳴だった。
その声を聞いて剣子は
「和子、銃の用意を」
「うん」
と言って剣子は木刀を構えて
和子は銃のレバーアクションを引いて撃つ準備をした。
そんな様子を見てアンジェリスは
「ねえ、希咲は何もしないの?」
と聞くと
「そんな……お父さんが平日に何で仕事に行かないのみたいな聞き方は止めなさい」
と言って悲しそうにした。
そして
「もうすぐ2階だから……!! 誰かいる……」
と剣子は静かに言った。
そして
ツルン!
「うおお!」
「へ?」
望は案の定血で足を滑らして和子に思いっきり当たった。
「おっと」
「大丈夫か……」
そう言って剣子はこけそうになった和子と望を支えた。
「もう! 気を付けてって言ったでしょ……」
「ごめん」
すると
パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
と音がした。
その音に剣子は
「和子! 銃は!」
「へ? あ!!」
良く見ると拳銃が手元になかった。
「え! どこに!!」
と辺りを見渡すと
銃は煙を吹いて落ちていた。
先程の発砲は自分が落とした銃の音だったのだろう。
そして、和子は弾はどこに当たったかを確認するために見渡した。
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「う……が……ああ……な……ぜだ」
ブシュウウウウウウウウウウウ!!
そう言いながらベルゲザズは喉から血を吹く出しながら倒れた。
「い……いったいこれは……もしかしてレベッカが……」
と思いレベッカの方を見たがレベッカは未だに気絶していた。
「あれ!!」
間抜けな声を上げながらいったい誰がベルゲザズを倒したのかが分からなかった。
そして、周りを見渡すと真っ青になった和子がいた。
他にも望と剣子もいてもう1人少女もいた。
少女は金髪で碧い眼をしていた女の子だった。
おそらくアンジェリスを見つけたのだろう。
しかし、どうして和子が真っ青になっているのかが分からず和子の目線の方を見ると銃が煙を吹いて落ちていた。
「……えっと……これヤッタの和子ちゃん……」
「はわああああ!! はわはわはわああ!! ちっちちいが!!」
と明らかにパニックを押していた。
望はそれを見て
「うむ、なるほど、これは……そういうのか……」
と言って和子の方を見た。
「へ?」
そして、望は
「ひ!! 人殺しいいいいいいい!!」
「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! ちっ違うううう!!! 違ううううう!! っそっそもそも!! 希咲君が!! こけなければああ!!」
「ひっ人のせいにするつもりかあああ!! 犯罪者は言うことがちげええなあああ!!」
と言って少しテンション高めに言った。
それを聞いて剣子は
「お前、いい加減にしろ……よくもまあそんなことがぬけぬけと言えるな……」
と言って怒っていた。
するとアレックスは
「まあまあ!! 喧嘩するな!! こっちは助かったんだ!! 取り敢えず!! レベッカを起こすから!!」
と言って関節を外された片腕を押えながら2人を止めた。
「ううう……ううう……本当に大丈夫なの……」
と罪悪感で和子は泣いていた。
アレックスは
「あいつの俺らを殺そうとしたんだ、例えワザとでもこれは立派な正当防衛だ、それにあれは不慮の事故だ、気にすることはない」
「うう……アレックスさん……」
と泣きながら和子は少し落ち着いた。
すると望は
「彼にも家族や愛する人がいただろうに……」
「やめてえええええええええええええええええ!! 罪悪感が高まるセリフ止めてえええええ!!」
「おい! 希咲!! いい加減にしろ!! ふざけるなよ!」
と言ってアレックスはさすがに望の胸ぐらを片腕で掴んで怒った。
望は
「ごめんごめん、悪かったよ、これは本当に俺のせいだし気にするな音無さん、君のせいじゃないから」
と言って普通に責任を認めた。
和子は
「うん……ありがとう……ふざけただけなんだよね、そうなんだよね、でもあまりそういう冗談は好きじゃないからやめてね」
と泣きながら優しく注意した。
それを聞いて望は
「……うん、流石にごめん」
と言った。
するとレベッカは気が付いたのか立ち上がって、
「だっ大丈夫よ、そいつは家族からも疎まれてたし恋人も友人もいなかったわ、皆を見下していたからね」
と言ってさらに和子を安心させようとした。
それを聞いて望は
「おいおい、なんか可哀そうになって来たんだけど」
「気にすることないわ」
「いや、気にするだろ」
レベッカの言葉に対して望は小さな反論をした。
そして、アレックスの腕が関節を外されているのを見て
「取り敢えずその腕治しましょう」
「ああ、頼む」
と言って
ゴキン!!
「う!!」
そしてアレックスは腕を回して
「問題ないようだ、ありがとう」
とレベッカにお礼を言った。
そして、レベッカは少女の方を見て3人に
「ありがとう、アンジェリスちゃんを助けてくれて」
「見つけたのは希咲くんだよ、彼が男子トイレで見つけてくれたの、それにゾンビから身を挺して守ってくれてたの……だから間に合った」
と言って望の手柄も和子はきちんと伝えた。
それを聞いてレベッカとアレックスは
「本当か!! ありがとうな!! 希咲!」
「希咲君ありがとう!!」
とお礼を言われた。
望は
「なあ? それはいいんだけどなんか聞こえない?」
と向こうの方を見ていた。
それを聞いたアレックスは
「!! まっまずい!! そう言えばあいつゾンビ犬を呼んでたぞ!!」
すると
「グオオオオオオオオオオオオン!!」
「グガガガアアアアアアアアアアアン!!」
「ゴアンゴアン!!」
「ガッガガガガ!!」
と声がした。
「4体!! 銃の弾的には大丈夫だけどちゃんと狙わないと噛みつかれてしまうわ!!」
と言って冷や汗を掻いていた。
それを聞いて望は
(チャアアアアアアンス!! 俺にとってはそれはチャンスなんだ!! 最後の最後の最後でえええ!! 俺は希望を見つけたぞおおおお!! ここだ!! ここで俺はゾンビになってやるんだああああああ!!)
と考えた。
だがアレックスは
「いや! 先に奴が噛まれるだろう!! あいつは俺らより少し前にいる!! そうすれば時間が稼げる!! そうすれば全部倒せるぞ!」
と言って喜んでいた。
(なんだって……)
望は希望を立たれてしまった。
が
ポチ
「!! おまえ!! まだ生きて!!」
「やら……せねえぞ……この私が……負けたのは運が……悪かったからだ……なら最後に……お前らの1人を……ゾンビにして報いて……ヤル」
と言ってそのまま動かなくなった。
それを聞いてアレックスは
「糞があああ!! ベルゲザズ!! やりやがったな!! もうあの犬はあいつを襲わない!! そうなってしまったあああああ!!」
(ナイスだベルゲザズうううう!! 何をしたのか正直アレックスとレベッカが邪魔で見えなかったがナイスだあああああああああああ!!)
と望だけがベルゲザズの行動を喜んだ。
希望は再び開花した。
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