23Dead『TVゲーム』

望とアンジェリスは格闘ゲームをしていた。


その為、和子と剣子とレベッカとアレックスは参加できなかった。




「俺らはこういうの分からんからな」


「そうね……研究と訓練でやったことない」


「私も小さい子向けのゲームならやった事あるんだけど」


「私はそれが許される家庭ではなかったからな」




と言ってしょぼくれていた。


すると




プールルルルルルル!! プールルルルルルルル!




とレベッカの携帯が鳴った。




「!! これは!」


「連絡か!」


『YOU WIN!』


『母さんごめん……世界を……混沌に包み込めなかったよ……』




空気を読まないようなゲームの音がした。


それを聞いて




「ごめん2人共……ちょっとシリアスだから少し音量下げて」


「え! 嫌だ!!」




と言ったのはアンジェリスであった。




「俺はどっちでも」




と望は言った。


アンジェリスは




「このゲームは音量が命なの!! 少しの聞き逃しが負けに繋がるの!」




と言って涙目であった。


レベッカは




「大丈夫よ! 少しぐらいならちゃんと連絡聞こえるから!」




と言って許可を出した。


アンジェリスは




「やったああ!」




と嬉しそうな笑顔を見せて




「良いな……」


「子供だもの……」


「そうだね」


「うむ」




と望以外は和んだ。




「さてと……俺の持ちキャラを選択するか」


「!! さっきのアスパラマンは持ちじゃないの!」




と驚くアンジェリス


望は




「俺の持ちキャラは豆腐ハンバーグ大臣だ!」




と言って




「ふへへへへ!! 女はワシの玩具じゃ!」




とゲスイセリフを吐く。




「さいってい!!」


「キショ」




と和子と剣子からブーイングを喰らった。


すると




「豆腐ハンバーグ大臣をバカにしないで!!」




と文句が出したのはアンジェリスだった。




「え……ごめん」


「ごめん」




と2人は謝るしかなかった。


レベッカとアレックスは




((いったいどんなゲームなんだ……))




と思った。


気になったのか和子が




「ねえ? これってどんな格闘ゲームなの?」




と聞くと望は




「え? これはロイヤルヘブンオブザ2.5エディション!! 食物たちの反乱だよ」


「ごめん……分からない」




と和子はタイトルで容量がオーバーした。


それを聞いたアンジェリスは




「!! し! 知らないの!! この有名なゲームを!! 嘘でしょ!」


「仕方ないよ、まだこのゲームはマイナーしか知らないんだ」


「そんな……」




とショックを受けているようだった。


それを見て4人は




「マジか」


「有名なんだ」


「ゲームを知らないからなあ」


「私も調べてみよう」




と和子が調べると




「え!! 大会あるの!」




ととんでも情報が出てきた。




プーーールルルルルル!!




「お前は早く出ろよ!」


「あ!! ごめん!」




と言って電話を出た瞬間




『これで……我が祖先を繁栄させることが出来なくなった……』




と豆腐ハンバーグ大臣が敗れる声がした。


がレベッカは気にしないようにして電話に集中した。




『もしもし』


「もしもし!! アンジェリスのお母さんですか!」




と言ったがアンジェリスはあまり気に留めるようではなかった。


レベッカはそれを不思議に思ったがまずは情報を手に入れようと




「あなたのお子さんは見つけました、これからどうしますか?」




と聞くと




『きっと今からの情報を聞くとすぐに行動するでしょう……いえきっと普通の状態ではいられなくなります』




と言った。


それを聞いて




「どういうことですか?」




とレベッカが聞くと




『もうじき日本に核が撃たれます』


「!! そんな!! 核が!!」


「はああ!!」


「え!」


「嘘!!」


『糞がああ!! 俺の明太子の腕がああああ!!』




と時折ゲームのセリフが飛び交う。


だが話は続いた。




『でも聞いて、今船が向かってる、核は早くても2日後、船は明日には到着する、だから今は休息を取ってしっかり体を休めてから合流して、いいかい!』




と言われた。


レベッカは




「分かったわ……」




と言って




『では地図を送る、この場所で明日9時に来て』




と言って切れた。


そして、携帯に地図が伝送される。


レベッカは




「皆……」




と不安そうに見ると




「核が……日本に……」


「そんな……まさか……だがあり得ない話ではないな……」




と和子も剣子も動揺していた。


アレックスは




「奥さんはなんて?」




と聞くと




「明日9時にここにって……」




と冷汗を掻きながらレベッカは携帯を見せた。


そこには港の場所が記された地図がある。


和子は




「……見捨てないといけないの……かな……」




と涙を流していた。


剣子は




「和子……」




と動揺しながら見た。


日本には和子の家族、剣子の家族、望の家族がいる。


その為、見捨てることが出来るかである。


明日には出発しないと確実に3人は死んでしまう。


決断は今日に限られてしまった。


すると望は




「俺は行くよ」




と言った。


望は思い出していた。




 (あの広島の街のような惨劇に会うのは嫌だ!! さすがに苦んで死ぬのは嫌だ!!)




という自分勝手な理由だ。


そして




(だって俺ゾンビになるもん!! きっとそっちの方が幸せだもん!)




とあくまでゾンビになるつもりでもあった。


それを聞いて和子は




「家族のことは……」




と聞いた。


望は




「まあ、そうだな、逃げるなら見捨てることになるな……俺はその罪を背負うのだろう」




と淡々と言った。


和子は




「私は……私は……」




と迷っているようだ。


剣子は




「和子……私が決めようか?」




と言った。


和子はそれを聞いて




「ドっどうして……」




と戸惑いながらも剣子に聞く。


すると




「私は君が生きてくれればそれでいい……父と母が生きているという期待もあったのだが正直会えない以上残酷だが私は諦める覚悟だ……だが君が死ぬようならば私は無理矢理でも君を連れて行く……あの時私は君に救われたこの思いだけは大切にしたいんだ」




と言った。


望は




「お、おう、何かあったんすね」




と少し引きながらゲームをした。


アンジェリスは




「私はもうすでに逃げる覚悟が出来てるわ……皆を放って逃げるなんて今も思ってるけど……」




それを聞いて執事長は




「すみません、私達の我儘で……」




と言って頭を下げる。


和子は




「……私が決めるよ……剣子ちゃんに何もかも罪を被せるつもりはない」




と言ってレベッカの方を見た。


そして




「私は行きます! 私は生きている! 助けたい思いはあるけど変わり果てた家族の姿を見るかもしれない……さっきの加藤先生の奥さんと子供のように! 逃げてるのは分かってる! けど私は!」


「分かった! 逃げよう!」




とレベッカは和子を抱きしめた。


和子は




「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




と大声で泣いた。


剣子は




「大丈夫だ、お前だけではない……お前だけが悪いんじゃない」




と言って和子の頭を撫でた。




『YOU WIN!』


「あああ!! 望!! 話してる間に!!」


「油断大敵」




と言ってゲームを続行していた。


それを見て和子は




「ブフ! アハハハハハハ!! もう!!」




と言って望の頭を




パチイイン!!




とぶっ叩いた。




「いたああ!! この!! 何すんだ!!」




と言って和子の頬を抓った。




「ひたいひたい!!」




と言って涙を流して笑っていた。




「えええ……お前怖あ! 家族が死ぬかもなのに笑ってるとか……」




と引いた。


和子は




「君の方がよっぽどドン引きですよ!!」




と言って殴り返す。




「もおおおお!! もおおお!」




と喧嘩は続いた。


そして疲れたのか和子は




「スースー」




と眠った。




「よし、ゲームが出来るぞ」




と言って望はゲームを再開する。


アンジェリスは




「今日は寝かせないわよ!」




と言って完全にオールでゲームをするつもりのようだ。


それを見てレベッカは




「いや! 今日は寝て!! 明日のために!!」




と言って2人を無理矢理布団へと連れて行った。

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