15Dead『トイレ』

望たちはアンジェリスがいなかったため教室を後にしていた。


そして、廊下の方へと言って教室をしらみつぶしに見ていたが人の死体や血みどろになりながら人の指をかじっている学校で飼育されているであろうウサギ、ロッカーを開けると抱きしめ合いながらボトンと倒れたカップルの教師がいた。


むしろトラウマが増えたのか和子が




「もうやだああ……なんか見てるだけで悲しくなってくるよおおおお……心が痛いよおおおお」




と呻いていた。


それを聞いて望は




「おいおい、そんなんでどうするんだよ……自分の親がゾンビになって襲ってきたときお前は……」


「やめてよおおおおおおおおお!!」




と言って耳を閉じて現実を逃避した。


それを見て剣子は




「和子、苦しい現実だろうが覚悟しないとこの先を進んでいけないのは事実だと思う、助かっていたら幸運、だが助かっていなかったら不幸だと思って自分が生き残ることを考えるんだ、君の親御さんならどう考える? 自分たちの死で追い詰められるより自分たちの死を乗り越えて生きてくれる方が嬉しいと思うぞ? 私の父も剣道の師範だがさすがにこの状況で生きている可能性は低いと思ってる、うちには小さい弟もいるしな、だがこのどこにも希望がない場所だからこそ小さな希望を守れるように生きていきたい、私はお前が生きていることが希望なんだ……だから私のために生きてくれ」




と涙を流しそうになりながら言った。


それを聞いた和子は




「それって、自分の為じゃん……」




と呆れたように言った。


剣子は




「そうだ、私は自分のために生きてる、だからお願いだ……」




と言ってギュッと抱きしめた。


和子は




「分かった……ありがとう……私があなたの希望であれて嬉しい……」




と言って抱きしめ返した。


それを見て望は




「百合ですか、そうですか……幸せそうで何よりですよ」




と言って話に置いてけぼりにされていた。


そして、進んでいるうちにトイレがあった。


そこには当然女子トイレもあった。


それを見た望は




「おい!! ここ!! 女子トイレだ!!」




と言って空気も読まずに興奮気味で2人に言った。


それを聞いて




「? 何?」


「どうした? いきなり?」




と2人は聞いた。


望は




「こういう荒廃した状況でしか入れないと思うんだよ! 女子トイレって!! 入ってみるぜ!!」




と言って望は女子トイレに入るという変態行動に及ぼうとした。


それを見て和子は




「待って!!」




と言って望の腕を掴んだ。




「はなああ!! せええええええええ!!」


「離さないよおおお!!! 何考えてるのおおお!! バカなのおおおおお!! こんな状況で何でええええ! そんな変態行動が出来るのおおおおお!! バカなのおおおおお!!」




と2人は引っ張りあっていた。


剣子は




「それなりの理由を言え、ならば許す」


「許すの!!」




と言ってそれを聞いた和子は青ざめた。


そして望は




「いや、だってここにアンジェリスちゃんが隠れてるかもしれないだろ? ならばここも探るべきだ!! 否!! 探さないと死んでしまうかも!!」




とそれなりの理由を言った。


それを聞いて剣子も




「ふむ、確かに一理ある」


「クッ!!」




と和子も悔しそうにしていた。


そして




「じゃあ俺がじょ」


「私たちが女子トイレを調べるから男子トイレをお願いする」




と言って2人は女子トイレに入って行った。




「……え?」




と言って望はポカンとしていた。


そして




「何だよ何だよ!! 良いじゃんかよおおお!! どうせ誰も入ってないんだろ!! だったらこういう時ぐらい入ってもさあああ!! べっ別に女子の用品なんかを漁ろうだなんて……だなんて……ちょっとぐらいしか思ってないんだから!!」




と言ってアンジェリスそっちのけで探す気満々だった。


そして、仕方なさそうに望は男子トイレに入った。




「ふむ、臭い、ここはなんか臭いぞ……ウンコとおしっことなんか変なにおいがするような」




望は周りを見ても明らかにここで人が死んだであろう手が血で濡れたからなのだかその後があった。


望は




「ここで何があったんだ……何でトイレですら……逃げる前にトイレ休憩でもあったのか?」




としょうもないことを考えていた。


すると大を催すところが閉まっている部分が2つあった。




「?? どうしてこの2つだけ? まさか!! 女子の野郎があああ!! 俺が知らない間にこの中に入ったなああ!! いったい何をした! 特殊能力にでも目覚めたか!! スキルか!! もう何があっても驚かないぞ!」




と2人の女子にありもしない疑いをかけた。


望自身この状況下でゾンビが彷徨うこの異常事態にもう何も驚きがないと思っていた。


例えこの世界が全てただの一般市民に操られていたとしても、例えタイムスリップしてきた未来人が来ても驚かない自信があった。


なので2人にそんなしょうもない疑いを掛けてしまっていた。


そして、望は




「おい!! 出て来い!! この愚か者共があああ!! ここを開けろおおお!!」




と言って1つのドアを蹴った。


すると




「ヒイイイイイイイ!!! 止めてえええええ!! 来ないでええええ!! 死にだぐないよおおおおお!!」




と幼い女の子の声がした。


それを聞いて望は




「?? あいつらの声じゃない? つまりこれは幼女? つまり引ん剝きタイム? いやいや、俺はいつからロリコンに……いや! もうこの世界に規制などない! もうこの世界に児童ポルノは存在しない!! あるのはゾンビに支配されつつある荒廃しきった世界!! ならば!! もう何をしてもいいよなあああ!!」




とトチ狂ったことを言い出して望は




ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!




とドアを蹴った。


だが




「いってええええええええええええええええええええええええええええええ!!」




ドアの強度に負けた。




「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」




中にいる少女も悲鳴を上げた。


だが望はあることを思った。




「……こいつもしかして……あの探してる子? もしそうならば後でこれがバレれば児童ポルノが存在しないこの世界でもあの人たちいや、お金持ちの人たちに酷い目にあわされるんじゃ!! ゾンビになるだけなら願ってもないがもしゾンビになれず永遠に苦しい拷問生活が待っていたらそれは俺がなりたい運命じゃねえ!! これは!! やばい!! さっき言ったことが聞こえてませんよおおおにいいいいいいいいいい!!」




と言って願いながら




「あーけーてー!!」




と言って




トントン




とノックをした。


すると




「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!! ゾンビいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」




と悲鳴を上げられる。


それを聞いて望は




「うむ、聞こえてなかったようだ、このままドアを破ろう」




と安心して、




ドオオオオオオオオオオオオン!!




ドアにタックルする。




「きゃああああああああああああ!!」




そんな悲鳴を上がるがお構いなしに望は




ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!


ドオオオオオオオオオオオオオオオオン!




とタックルを続けた。


すると




バキイイ!!




とドアが開いてゾンビが隣から出て来た。




「おお、待ちに待ったゾンビのお出ましだ」


「もう分かったよ!! 開けるよおおおお!!」




と言って悪いタイミングで少女はドアを開けた。




(まずい!!)




と思った望はドアが開いた瞬間少女を中に押し込めて




「噛むなら俺を噛め!!」


「!! あなたは……」


(俺が先に噛まれてゾンビになるんだああ!! このチャンスは絶対こんな小娘なんかにやるものかああああああ!!)




と考えながら少女を庇った。


すると




「よくやったぞ!! 希咲君!!」




と言ってゾンビはあっという間に頭を潰されて倒れた。




「……」




望の希望は絶たれてしまった。


潰したのは剣子で頭を木刀で叩きつけていた。


そして、少女はトイレから出て来た。


涙目になって




「ううう……どうして……私がこんな目に……」




と出て来た。


その子は金髪で目が碧く日本人ではないのが見て分かった。

服装は学校指定の服で、スカートからはサスペンダーがシャツの上から肩にかけてかかっていた。

和子は




「もしかして……アンジェリスちゃん?」




と聞くと




「何で私の名前を知ってるの……どこで知ったのよ!!」




と威嚇するように聞いた。


それを聞いて和子は




「えっとね、私たちを助けてくれた人たちがあなたのお母さんに頼まれて助けに来たみたいなの、だから安心ってすぐには出来ないかもだけど……信じてくれるかな?」




と聞くとアンジェリスは




「嘘よ!! あいつが私なんかを助けようだなんて思うわけないじゃない!! 妹のメアリーの面倒だけで私を見ようとしなかったあの女が!! ずっと邪魔そうにしてたあの女が!!」




と言って癇癪を起した。


和子は




「でっでも!! きっとお母さんも反省して助けをお願いしたんだと思うよ!! きっとそうだよ!」




と説得しようとしたが


アンジェリスはさらに睨みつけて




「嘘よ!! それならお父様が借金する前に私を日本に追いやる理由が分からないわ!! それにメアリーが死んでお父様が兵器として発明を利用した時借金が消えたのに私がすぐに戻れないのはおかしいわ!! それにさっき私を引ん剝くだとかなんとか聞こえたわ!!」




と言った。




(!! 聞きっ聞こえてたああ!!)




それを聞いた望は真っ青になり


それを聞いた2人は真っ先に望の方を睨みつけた。




「最っ低」


「お前って奴は……落ちるところまで落ちたな」




と言って見下した。


だが望のこんな異常事態に慣れたのかすぐに顔色を戻して




「違うよ、俺が言ったんじゃないよ?」




と白々しく言った。


それを聞いて和子は




「じゃあ……誰が言ったの……」




とゴミを見るかのような目で聞いた。


望は慌てず騒がず




「このゾンビさ」




と人のせいにした。


それを聞いた和子は嘘だと思い望の胸ぐらを掴んだ。




「ゾンビがどうやって引ん剝くって言うの? ねえ? どうやって言うの? ア゛ア゛ア゛ア゛しか言わないよね? ねえ?」




と怒り気味で聞いた。


望は




「さっきまでゾンビじゃなかったんだよ、こいつ」




と言った。


剣子は




「どういうことだ?」




と聞くと




「さっきまでこいつゾンビじゃなくてこれからゾンビになるくらいだったらそこにいる少女をレイプしておきたいって言ったんだ……だから俺は止めろ!! 人間の尊厳まで失うつもりか! 的なことを言ってたんだよ」


「でも開けてって言ってなかった?」




望の言葉にアンジェリスは聞くと




「このままだとドアを破られてレイプされるかもだったから開けた瞬間連れ出そうと思ってね、君の安全がを確保したかったんだ」




と次から次へと嘘をついて誤魔化そうとした。




「でもさっきお兄ちゃんが私を覆って守ったのは何で? それならドアを壊そうとしてたのもその人になるんじゃ?」


「それはタックルしてるから俺が無理矢理引きはがしたんだ、力はないけど死にかけている人間をどかすぐらいはできる、それで怯んでいるうちにそのオッサンはゾンビ化して守ったってわけだよ? 分かった?」




とそれを聞いた2人は




「うん……まあ言い訳臭いけど筋自体は通ってるのかな……?」


「まあ確かにそのゾンビも男だし否定は出来ん……」




と悔しそうにしていた。


アンじゃリスは




「本当に? 本当にあなたが言ったんじゃないの? 私の目を見て!」




と言った。


望は




「本当に本当だ!!」




と言って自分が言ったことを本能からか危険を察知してか記憶から消し去った。


その為望の目を見たアンジェリスは




「嘘は……言ってない目だわ……分かった、信じる」




と言って困ったように言った。


望は




「嬉しいよ、信じてくれて!」




と言って笑顔で答えた。


そして、アンジェリスを見つけた3人は




「レベッカさんやアレックスさんのところへ戻ろう」


「そうだな、あの2人も探して心配してるだろうから」




と言って




「取り敢えずトイレから出ようか」




と言ってトイレから皆出た。


アンジェリスは




「ウウ……ウウ……何なのよこんな状態……怖いよおおお」




と言って泣いていた。


それを見た望は




「おいおい、そんなこと言ってるとお前? お荷物になるぞ?」




とアンジェリスに言い放った。


それを聞いた和子は




「何を言ってるの!! 酷いよ!! 大丈夫だよ? アンジェリスちゃん、お荷物なんて思わないから」


「……どうしてそんなことが言えるのよ! どうせ本当はあの男と同じく私をお荷物だと思ってるんでしょ!!」




と睨みつけた。


剣子も




「大丈夫だ、こんな状態だ、皆助け合いだんだ、和子も自分がお荷物だと言ってたけど銃撃の才能が開花して戦力になってるからアンジェリスちゃんもきっと役に立つことが見つかるよ、自分に出来ることをやればいいから」




と言って励ました。


アンジェリスは




「……そう……あっそう……」




と言って顔を赤らめながらそっぽを向いた。




「まあお荷物にならないように頑張れよ!」




と望はヘラっとしながら言った。


それを聞いて和子は




「大丈夫だよ、希咲君……君が一番のお荷物だから」




と言った。




「そうか!! ハハハハハハハ!!」


「そうだよ!! ハハハハハハハハ!!」


「全くだ!! ハハハハハハハハハ!!」




そんな異様な光景を見てアンジェリスは




(私……こいつらといて大丈夫かな……)




と不安になっていた。

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