8Dead『餌』

拳銃を構えた不良生徒に向けって望は




「?? 何??」




と聞くと




「聞こえなかったか? お前には餌になって俺の命の盾にするって言ってんだよ!」


「盾にするのか餌にするのかどっちかにしてもらえると助かるんだけど……」




と言葉の言い回しについて文句を言った。


不良生徒は




「俺をバカにしてるのか……」




と震えながら言うと


望は




(ああ、これは面倒臭い人だ……取り敢えずこいつの言いなりになった方が良いかもな、正直殴られるのは困るし)




と思い望はため息をついて




「分かりましたよ、で、これからどうするんだ……」




と聞くと不良生徒は我が物顔で




「そんなの、職員室に向かうに決まってるだろ!」




と言った。


望は




「え? 職員室に何しに行くんだよ……」




と呆れながら聞くと不良生徒は




「フン、お前の頭には脳が搭載されてるのか? バカすぎて笑いが止まらねえぞ、車の鍵を取りに行くに決まってるだろ……何だ? 先生にでも報告するとでも思ったのか? キメエ」




と言ってバカにした。


望は




(いや、車何て今の段階で免許とか関係なく運転出来るわけねえだろ……と言いたいが、また変なこと言ったら殴られそうだし言わないでおいてあげよう)




と大人しくした。


そして2人は廊下を出ようと




ガラガラガラ




と開けて様子を見た。


そこには少し遠くに剣子がいてゾンビと応戦していた。


戦闘に集中しているために望たちには気づいていなかった。


運良くか剣子の後ろにはゾンビはいなかった。


様子を見に行った際に意外と近くにいてゾンビを一人倒すとすぐさま来たために他の者を起こせていなかったようだ、そのため非常ベルの横に行って少し隠れて職員室のある後ろの廊下をばれない様に早足で向かった。


そんな中望は




(まあこれでゾンビにはなれるだろうからいいか、でもなんだかこいつは癪に障るから俺がゾンビになったらこいつに噛みつこう、うん、ゾンビになってしまったのならしょうがない、俺がこいつに噛みついてゾンビ化させたとしても不可抗力だ、俺のせいではないな! うん!)




と考えて望は銃を構える不良生徒をどうやって噛みつくかを脳の中でインプットさせていた。




(たとえ脳が壊れてゾンビになってもここまで何度も思えばゾンビ化した後にこいつを噛みつきに行くだろう、多分)




と考えての行動だった。


そして職員室までゾンビに出逢わなかった、早足で職員室に向かっている間に理科室にいた人たちの慌てるような声がしたがあまり気にしなかった。


そして職員室に着いた望に不良生徒は




「中に入れ」


「ウイース」




と命令されたので適当に返事をして車の鍵置場と書かれた掲示板のような場所へと向かって適当に鍵を取った。


不良生徒は満足そうに




「よし、じゃあ廊下に迎え、もし逆らえばこの銃でお前をここで殺す」




と言って脅す。


望は




(ここで撃ったらゾンビたち来るんじゃ……まあいいや、てか俺このままだとこいつと一緒に生き残るのか……いやだなあ、まあ大丈夫だろ、こいつに運転とか出来なさそうだし)




と考えて普通に廊下に向かった。


そして職員室のドアを開けて様子を見た。


そこにはゾンビはいなかった。


望は大丈夫だと言うために振り向いた。


すると




バタン!!




と音が鳴って天井が破れた。


そこからゾンビが現れた。


よりにもよって不良生徒の真上に




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




と悲鳴を上げて覆いかぶさるようにゾンビは不良生徒に襲った。




「おい!! ずりいいぞ!! てか! 何だこの欠陥学校!! どんだけ天井抜けんだよ!!」




と言って望は不満げだった。


自分がゾンビになろうとしていたのに、不良生徒の真上にゾンビが落ちて来た理不尽に対して快く思わなかったのであった。


そして




「てか! 何でお前がゾンビ化!! 脅して俺を餌にしようとしてたのにそれは格好悪いぞ!!」




と余計なことを言った。


不良生徒は睨みつけながら




「糞が!! てめえ!! ぐああ! これが……狙いだったのかあ!!」




と望の作戦だと勘違いされていた。


それを聞いて望は




「えええええ!! なんで!! 俺のせい!! 俺に分かるかよ……」




と理不尽な言葉に反論したが、




「さっき俺を見てほくそ笑んでいただろ!!」




と先ほど余計なことを考えたせいで顔がニヤついていたのがバレていた。


望は




「あれは……その……違って……」




と言い訳をしていると




パアアアアアアアアアアアアアアアアン!!




と発砲音がした。




「!! うおお!!」




といきなりの音に少し後ずさりした。


音のなった方を見るとアレックスが銃を構えて不良生徒を襲っているゾンビに発砲していた。


そのままゾンビは頭から血を噴き出しながら




「ア゛……ア゛ア゛」




と呻きながらそのまま不良生徒から落ちるように




バタン




と倒れて動かなくなった。


不良生徒は




「があああ……いでえええええ!!」




と涙を流しながら苦しんでいた。


それを見て望は




(あれ……俺が見ていた光景とは違う……なんか皆苦しまずにゾンビ化してたような……)




と望は少し戸惑って近くにいた和子に




「ねえ、何でこんなに苦しんでるの……俺が見たのは苦しまずにゾンビ化してたけど……」




と聞くと




「え? 皆苦しんでたけど……え? え?」




と逆に戸惑われていた。


それを見て望は




(もしかしてゾンビ化を受け入れたら苦しまずにゾンビ化するとか……?)




とウイルスの特性を一つ見抜いた。


そしてアレックスは




「お前はもうダメだ……噛まれている、残念だが助からない」


「そんな……止めてくれ……助けてくれ……」




と不良生徒は命乞いをした。


だがレベッカが冷たく睨みながら




「自業自得ね、彼を餌にして逃げようとした罰だと思いなさい、せめてもの情けにゾンビ化する前に殺してあげる」




と言って銃を不良生徒に向けた。


望は




(俺がゾンビ化したかったんだが……)




と思いながらただただ眺めていた。


そして




「いやだ……嫌だ……い……」




バン!




叫びだす前に不良生徒の頭を撃ち抜いた。




ビク!!




と大きな音に再び驚いて少し後ずさりしたら何かの衝撃で落ちたのか瓶を踏んで




ツルン!




「うお!」




ゴツン!!




とそのまま頭を机の端でぶつけた。




「バうア!!」




奇妙な声と共に泡を吹いた。




「!! 大丈夫!!」




そう言ってレベッカは望を見るが




「……」


「ダメ、また完全に意識を失ってる」


「この子結構どんくさいな」




とアレックスは少し困りながら言った。


和子は




「どうします」


「そうね、結構音出したからゾンビも来るだろうけど、やっぱり逃げるしか」


「でもどうやって逃げるんだ? 俺らの車もかなり離れてるぞ、あまり近くに置いたらバレるからって遠くに置いたろ?……まあバレたんだけど」




と言って2人は悩んだ。


すると剣子は望の手に何か光ってるものを見つけた。




「これは……車の鍵? そうだ! バスの鍵だ!! 試合の時バスで行くんだがこの鍵なのをたまに見ていた! よく先生に取りに行くように言われてたし!」




と言ってバスの鍵を見つけた。


それを聞いてアレックスとレベッカは




「この不良生徒これ手に入れてどうするつもりだったんだ?」


「多分これを運転して逃げようと考えたんでしょうね、彼を餌にしている間に……」


「バカな! ガキがそんな簡単にバスの運転できるか! ただアクセル踏んでハンドル握れば出来るもんじゃねえぞ!」


「まあ浅はかなんでしょうね」




と言って2人は不良生徒に呆れていた。


和子は




「まあまあ! 取り敢えずはバスの鍵を手に入れたんですから! 逃げましょうよ!!」




と言って少し安心したようだった。


そして




「そうだな、逃げよう、この子は俺が背負うよ」


「いや! 私が背負いますよ! 私銃の撃ち方を教えてもらっただけで役に立てるか分からないですから!!」




と言って和子が買って出ようとしたが




「いや、和子の体力じゃ最後まで持たない、私が行こう、和子は逃げることを優先してくれ、大丈夫よ和子、貴方ならきっとちゃんと役に立てるようになるから」




と言って剣子が望を背負うことを買って出た。


和子は




「でもそれじゃあ戦えないんじゃ?」


「私は近接しかできないしこの竹刀だとどこまで戦えるか……それなら背負って戦いを2人に任せた方が良いと思ったからだ気にしないでくれ」




と言って剣子が望を背負うことになった。




「では逃げるぞ、覚悟を決めろよ!」




そう言ってゾンビはまだいないことを確認して




「今だ、行くぞ!」




と言って職員室を出た。


そして




「ゾンビが出口を塞いでやがる」


「まあそうだよね、外からゾンビ来たんだから」




と言って和子は残念そうにしていた。


剣子は




「取り敢えずはここを突破しないとどうせ逃げることは出来ない行くぞ!」




と言ってレベッカとアレックスが武器を構えて


ゾンビに狙いを定めてレベッカは銃を撃つ




バン!!




「今だ!!」




そう言ってアレックスの掛け声とともに4人は走り出す。




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




音に反応したのかゾンビたちは4人の方に向いた。


だが向いて間もなくアレックスとレベッカに銃で撃たれて頭から血を出し動かなくなる。




「ひいいいい!! 血が出てるううう!」




和子はビビりながら逃げた。




「だっ大丈夫! 剣子ちゃん!!」


「大丈夫だ、部活で荷物を持ちながら走ることなんてしょっちゅうだし、それにこいつはその荷物よりも軽いからなんてことはない」




と言って余裕そうだった。


和子は




「この人……いったい何キロ何だろうか……」




と言って不思議そうに見ていた。




そしてゾンビがいる中飛び込みバスの方へと走った。




「あった! あれだ!! 皆走れ!!」




そう言って皆はバスの方へと駆け込んだ。


アレックスとレベッカはバスに近づくゾンビを撃ち殺して排除していた。


すると




「待ってくれ!! 俺たちも乗せてくれ!」




と言って複数人の男女がいた。


和子は




「あれって! 生徒会のせい君!! 彼も生き残ってたんだ!」




レベッカは




「早く乗って!」




と言って急がせた。




「ありがとう!」




そう言って清田たちが乗り込むとレベッカもアレックスも乗り込んで


運転はアレックスがした。




「行くぞ!! 出発だ!」




と言ってエンジンを掛けて発進させた。




ゾンビを何体か轢いて学校から逃げることが出来た。


そして、バスは道路へと走り去った。

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