18Dead『飲み物』

そうして、皆校庭の方へと出て来た。


途中で和子が目覚めたので




「大丈夫? 気が付いた?」


「ここは? 私噛まれてたっけ!」




と腕を確認したが服が破れていただけで傷がなかったことに気づいた。


そして




「良かった……怖かった……希咲君に言っていて私も不注意だったよ」




と言って1人で精神を回復させていた。


その姿を見て




「だっ大丈夫なの? しんどくない?」




とレベッカが不思議そうに言ったが


和子は




「大丈夫、それのこんな状況なんだからこれぐらいでヘたれたらやってられないでしょ?」




と言っていた。


その姿を見てレベッカは




(精神が強い子なんだな)




とただただ驚いていた。


そして、外に出るともう明け方になっていた。


望は




「そうか、ずっと夜で今朝になったのか……ってことはやっと一日!! なんか!! え!! 長い一日過ぎやしない!! なんだよ!! 相対性理論なの!! これが相対性理論なの!!」




と言った。




「まあ、確かに凄い一日だったよね、この授業で終わりだなあって思ってたらこんなことになってるんだもん、正直今でも信じられないよ」




と言って和子も疲れたように言った。


剣子も




「取り敢えず、これで死んだのはあの不良生徒だけなのが良かったよ」




それを聞いてアンジェリスは




「ねえ? それ良かったの? 死んでるよね?」




と聞いた。


すると和子は




「えっとね、その死んだ人なんだけどね、希咲君を餌にして自分だけ助かろうとしたの……だから自業自得でもあるの、確かに彼の暴走を止められなかった私たちにも責任はあるけど……」




と言ってアンジェリスに説明をした。


それを聞いて




「それってその異常者の命を使って助かろうとしたの?」




と聞いた。


ぞれを聞いた望は




「おい、酷くないか今の?」




とツッコんだが、アンジェリスは




「だって、殺気立ってその子が襲い掛かってるのに飛び込んだじゃない、その時何かあなたの目に異常な感じがしたわ! そんなあなたに異常と言って何が悪いの!!」


「糞ガキガアアアアアアアアアア!!」




と言って望は大人げなく頬を掴んで引っ張った。




「いだいだいだいいい!!」


「この口か! この口が!! 俺を悪く言う口は!!」




と涙目になりながら望の腕を掴んで抵抗していた。


望は怒りながら抓り続ける。


そして必死に抵抗するアンジェリスを見て




「ハハハ! 子どもの力で俺を振り払えるか!! このまま抓って泣かしてやる!!」


「ふぇえええええええええええええええええええ!!」




と騒いでいる。


それを見てレベッカは




「言っとくけどその子お嬢様よ? あまり変なことしない方が良いんじゃない?」




と言うと




「はあ、まあそうだけどさでもこれぐらいフレンドリーの方がお嬢様も親しみやすいんじゃない?」




と言いながら頬を抓るのを止めた。


アンジェリスは




「どうせ私に何があってもあいつらはどうでもいいと思ってるわよ!」




と言って拗ねていた。


それを聞いて望は




「あれか? 話を聞いてはいたけどもしかして親が妹に構ってばかりだったから甘えたりないのか? なら俺に甘えな! ほら!」




と言って両手を広げた。


アンジェリスは




「気持ち悪、近づかないで」




と嫌悪された。




「うお、嫌われてるな」


「そりゃね、あんなことしたらな」


「それになんか少し俺から見ても気持ち悪かった」




と周りからも不評だった。




「酷!」




そう言って涙目になる望


そして




「そういえば、気になることがある、どうして途中からゾンビがいなくなったんだ、近くにいたゾンビが襲い掛かったが」


「あのボタンを押してゾンビを操ったのに来たのは近くにいたゾンビだけだった、どうしてかしら」




と言ってアレックスとレベッカは疑問に思っていた。


それを聞いて和子は




「もしかして、希咲君がゾンビを押して階段にいたゾンビがドミノのように倒れて頭をぶつけて死んでたからかな?」


「それしかないだろ?」




とその言葉に剣子も同意していた。


それを聞いてアレックスとレベッカは




「何気に役に立つな、あいつは」


「困ることも多いけどね」




と言った。


和子は




「そういえば、あそこで死んでるクリーチャーって何なんですか?」




と言って旬の銅像を見て和子が質問した。


アレックスは




「あのベルゲザズが呼んだ化け物なんだ、そいつをこのボタンで操って俺らを襲ってきたんだ」


「途中で窓から出て鉄格子を掴んでたんだけど何故か机が落ちてきて頭に当たったのか落ちてあの銅像に刺さって死んだのよ」




と不思議そうにしていた。


アレックスは




「そもそも机は何で落ちて来たんだ?」




と疑問に思ってると




「それも希咲君が……」




と和子は恐る恐る言うと




「あいつは一体なんなんだ!! 聞いてるだけで怖くなってくるんだが!」


「机を落したって、どういった理由で?」


「なんかロッカーが開かないのを見て机を落したら開くんじゃないかって言い出して……」


「どういった思考回路なんだあいつは!!」




とアレックスは引いていた。


それを聞いてアンジェリスは




「やっぱりあいつは異常よ! 考えていることが分からないわ!」




と恐れていた。


だが




「止めておけ、あいつを見捨てることは俺らには許されない」




とアレックスは言った。


アンジェリスは




「どうして!」




と聞くと




「俊敏性犬がいるだろ!」




と言った。


それを聞いたアンジェリスは




「もうその名前は定着するの!!」




とツッコんだ。


それを聞いてアレックスは




「でもな、あいつが決めてそれを気に入ったわけだしなあ……」




と困っていた。


それを聞いてアンジェリスは




「あいつに文句言う!!」




と見渡したが望と俊敏性犬はそこにはいなかった。


アレックスは




「って!! あいつどこに行った!!」


「えええ!! いないの!!」




と言って2人とも焦った。


それを聞いて剣子は




「飲み物を買ってくると言ってたぞ?」




と言った。


和子も




「2人が犬の話してた時に私たちに言ってた、飲み物は必要だし俊敏性犬? だっけ? その子もいるから大丈夫だと思ったんだけど……ダメだった?」




と聞くと




「うん、まあそうだな、でもここにあるか? 飲み物?」




とアレックスが聞くと


アンジェリスは




「一応この学校に自販機あったから大丈夫よ、お金があればだけど」


「財布持ってるって言ってたよ」




と和子が教えた。




「なあ、あの人誰だ? さっきからビクビクと動いてるんだが?」




と剣子は言った。


剣子の目線の方を見るとそこには銅像に刺さっていた旬が刺さりながら蠢いていた。




「ぐげぐえ……げげ……ががfげ」




と言って血を流しながらモゾモゾしている。


その姿はあまりにも異様だった。




(!! まさか! クリーチャーが上にいる! その血があの校長の体に入って何か影響を与えてるのか!!)




すると




「ぐががががががああああ!!」




と悲鳴のような声を上げて体が膨れ上がって行った。




「いやあああああ!! 気持ち悪い!!!」




アンジェリスは真っ青になって言った。


そして、膨れ上がった体はクリーチャーと銅像ごと体に取り込んで巨大化していった。




「ぐがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




旬はゾンビ化した上にクリーチャーとして復活した。




「「「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」」」




突然のことで皆は油断していた。


まさかクリーチャーの血で人間がゾンビ化ではなくクリーチャーになると思ってなかったのであった。




「糞!! 希咲はまだか!!」


「遅い!! だからって置いて行く訳にも!!」




とアレックスもレベッカも周りを見渡した。


剣子は




「とにかく車の準備だけはしておこう、逃げるにはそれが必要だろう!」




と言ってアレックスは




「そうだな! とにかく近くにある車に乗るんだ!!」




と言って望以外の皆は車に乗り込んだ。


そして




「おおおおい! こういう時に飲んだ方が良いて言われてるスポーツ飲料水買って……」


「行くぞおおおおお!!」




と言って望を車に引っ張った。




「グオン」




と同時に俊敏性犬も車に飛び乗った。




「発進させるぞ!」


「スポーツ飲料水2本があああああ!!」




車に乗せられたと同時にスポーツ飲料水を2本、望は落としてしまった。


望は




「待ってくれ!! スポーツ飲料水がまだ2本乗ってねえ!!」


「そんなことはどうでもいいだろうが!! いいから行くぞ!!」




と言ってクリーチャーから逃げるために車を発進させた。




ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!




そして




「がああああああああああああああああああああああああああああ!!」




クリーチャーはその車を追った。




「うわあああああ!! 俺は!! 俺はスポーツ飲料水2本も守ることも出来ないのかああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




と言って泣いていた。


アンジェリスは




「ねえ、やっぱりこいつ異常よ、何なの? こいつ……」




と引いていた。


そして




バアアアアアアン!!


バアアアアアアアアアアアアアアン!!




と指を伸ばして攻撃をしてきた。


その攻撃を避けると同時に地面が轟音を上げて割れていく。




「マジかよ!! 当たったらこの車何て耐えられないぞ!!」




と言ってハンドルを切って攻撃を躱していく。


すると




『ぐうううううう』




と言って袋を顔面に被った人間は倒れて蠢いていた。




「あれ何? 何やってるの? 変態?」




と言ってアンジェリスは引いていた。




「あの人まだ取れないで呻いてたんだ……」


「希咲のゲロの入った袋で気絶しているように見えるが……」




と言って和子とアレックスが呆れて見ていた。


隣には指を失った男が泣いていた。




「あの人!! 指が!!」




と言ってアンジェリスは少し動くと足元に何か落ちていた。


それは指だった。




「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 指がここにあるううううううううううううう!!」




と悲鳴を上げた。


それを見て




「うわあ!! 希咲君が窓閉めた時の指がまだあった!!」




と引いていた。


それを聞いてアンジェリスは




「えええええええ……」




と引いていた。


望は




「さっきから俺のディスりが酷くね? いじめ? いじめなの?」




と聞いた。


すると




「ぐああああああああああああああああああああああああ!!」




と言ってクリーチャーはそこにいた倒れている人を伸びた指で巻きつけた食べていく。


そして、食べた瞬間体が少しずつ大きくなっていく。




「あいつ! 喰った物を取り込んで増長しているのか!! さっきの銅像も取り込んだからあんなにデカいのか!! どうやればあんなの倒せるんだ!! 考えろ俺!」




そう言いながらクリーチャーの倒し方を模索する。


すると




「気持ち悪……」




と再び望は酔った。




「おい!! どんだけ酔うんだあ!!」




とアレックスはビビった。


アンジェリスは困ったような目で




「飴あげるからこれで我慢して」




と言って持ってた飴を渡した。




「すまん!! アンジェリス!!」


「でも飴はあまりないわ、尽きるまでに倒し方を見つけないとこの車内がゲロまみれになるわ……それまでに何とかしないと」




と言ってアンジェリスも外から見える場所を確認する。


すると




「そうだ!! そこを右に曲がって!!」




と言った。


それを聞いたアレックスは




「分かった!!」




と言って右へと曲がる。


すると目の前に海岸があった。




「あそこか!!」


「そう!! 多分銅像とかも取り込んだからあのまま海に落とせば重さで沈むは!! あれぐらいの大きさなら完全に沈めるぐらいの深さはある!!」




と言ってもうスピードで車を走らせる。


それを追いかけるようにクリーチャーはスピードを上げる。


そして、海岸の近くで




「今だアアアアアアアアアアアア!!」




と言ってアレックスはハンドルを切る。




「ぐあああああああああああああああああああああ!!」




と言いながらクリーチャーは車にジャンプした。




キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!




と音を立てながら海岸のギリギリ落ちそうなところで右へと曲がることが出来た。


そして、クリーチャーはジャンプをしてしまったためそのまま海岸へと突っ込んだ。




「よっしゃああ!!」




そして、クリーチャーはそのまま海へと沈んで行った。


すると




「ぐばばばっばばああああ!!」




と大量の泡が海から出てきて触手のようなものを辺りを叩きつけていた。


そのまま触手ごと海へと消えていった。




「本当に深いのね」


「ええ、事故でクレーン車が丸々沈んだって噂になるぐらいよ、多分相当の深さだと思ったの」




と言った。


そして車を止めて




「おええええええええええええええええええええええええええええええ!!」




と望は我慢していたゲロを吐き出した。




「うわあ!! くさああ!!」




と言って和子は背中を擦っていた。


こうして完全にアンジェリスを確保することが出来た。


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