5Dead『生存者』

「急げ! 今ならいける!」




と呼びかけるガタイのいい軍服を着た外国人男性後ろを走る女子生徒2人と学生服を改造した不良の男子生徒を連れて逃げていた。


1人の女子生徒はポニーテールで凛とした顔つきで竹刀を持って逃げていた。




かず!! 大丈夫!!」




と和子と呼ばれる少し髪の長いメガネをかけた大人しそうな女子生徒は息切れをしながら




「ハアハア、だっ大丈夫、大丈夫……だ……よ……けんちゃん」




と言って笑って見せた。


剣子と呼ばれた先ほどの竹刀を持った女子生徒は




(このままだと和子が!!)




と考え男に




「あの!! どこまで走れば!! 和子がもう!!」




と言って確認した。


男は




「この先の理科室で俺の知り合いと待ち合わせている!! そこまで頑張ってくれ!!」




と言った。


それを聞いて剣子も少し安心した。


今は知っているところから理科室はあまり距離はないためであった。


だが不良生徒は




「たくよ!! 何でそこに行くんだよ!! こっちは逃げたいんだよ!! 逃げさせろよ!!」




といちゃもんをつけた。


そしてそうこうしているうちに理科室につき




「この中に入るんだ!! 俺が見張るからゾンビ共は寄せ付けない!!」




と言って理科室の中に3人は入って行った。


そして不良生徒は




「糞が!! そんな女一人のために足止めかよ!! ふざけんじゃねえぞ!!」




と言って床を叩いた。


それを見て男は




「すまないが些細な音も出さない方が良い、先ほどは走っていたからそこまで声も出ずにい済んだが音が大きいとあいつらが寄ってくる」




と言って注意をした。


不良少年は




「糞が、お前のせいだぞ」




と言って和子を責めた。


それを聞いて剣子は




「何よ……だったらあんた一人で逃げればいいじゃない」




と言うと不良生徒は睨みながら剣子の胸ぐらを掴んだ。




「てめえ、俺のこと舐めているな」


「舐めてるんじゃないの、迷惑してるんだけど?」




と言い返した。


それを見て男は




「頼むから仲良くしてくれ」




と言って呆れていた。


そして




「それにここで足止めなのは俺のせいだ、俺の友人を待っている俺の責任なんだ、だからその少女のせいではない、それにどのみち俺一人でこの人数を守れる自信はない、あの女がレベッカが来れば何とかなるから」




と言って励ますつもりで言ったが不良生徒は




「ああ! 女かよ!! ふざけんじゃあねえぞ!! 女なんかに何が出来んだよ!!」




と言って文句を垂れた。


それを聞いて男は




「おい! 俺の友人をバカにすることは許さんぞ! このままお前だけ追い出してゾンビ共の餌にしてもいいんだぞ?」




と言って少し脅した。


それを聞いて不良生徒は




「糞が……」




と言って床に座って冷や汗を掻いていた。




そして数分後




「遅くなってごめんなさい!!」




と言ってドアが開いた。


そこのは前かがみになっている金髪ブロンドヘアーで碧眼の外国人女性がいた。


すると




「レベッカ……大丈夫か? 怪我をしているのか?」




と男は心配そうに駆け寄ると




「大丈夫、怪我はしていないわ、アレックス、ただちょっと助けた男の子を背負ってきたから」




と言って気絶している望を床に寝かせた。


それを見てアレックスは




「こいつは……怪我をしているのか!?」


「いえ、先ほど頭をぶつけて気絶しただけ……何処も噛まれていないは」




と言ってアレックスたちを安心させようとした。


だが不良生徒は望を見て




「ふざけんじゃねえぞ!! こんなカスみたいなやつのために俺らは足止めを喰らったってのかよ!!」




とブチギレた。


それを聞いて和子は




「何を言ってるの!! あなただって逃げることしかできなかったじゃない!! そんな言い方しなくても!」




と怒ると




「ああん!! てめえ!! ケンカ売ってんのか!!」




と言って和子の胸ぐらを掴んだ。


それを見て剣子は




「おい……和子に手を出すな、殺すぞ」




と言って殺気を不良生徒に向けた。


不良生徒はたじろいだが




「な! 何だとゴラあ!! ふざけんじゃねえ!! お前を殺してやろうか!!」




と言ってメンチを切った。


だが




「ふん!!」




と声と共に肩に当たる寸前で竹刀を振って止めた。




「!!」


「もう一度言う、殺すぞ……」




と言って睨みつけた。


不良生徒は




「畜生が!」




と言って唾を吐き捨てた。


それを見ていたレベッカは




「なかなか分かりあえないようね」


「こんな絶望的な状況だからこそ余裕が生まれないんだろうな、当たり前だ絶望は図らずしてやって来たんだ、しかも普通じゃ信じられないことが今起こってるんだからな」




と言って悲しそうにしていた。


すると




「うーん……何だ? 何が起こったんだ? なんかうるさいぞ?」




と言って望は起き上がった。


それを見てレベッカは安心した顔をして話しかけようとしたが




「てめえ!! てめえのせいで俺らは足止めを喰らったんだぞ!! 分かってんのか!!」




と言って起き上がった瞬間に望の胸ぐらを掴まれた。




「え! え!! 何何!! 狂気を感じる!! 怖いよ!! 何なんだよ!!」


「黙れ!! この糞野郎がああああああああ!!」




ボゴオオ!!




「オボウ!!」




思いっきり殴られて理科室の机におでこが当たった。




「あがやあああ!!! いだいぢあいだいい!!」




おでこと頬を押えながら呻いていた。


望は




(な! 何だああ!! 何で殴られてええええええ!! どうしてここにいいいい!!)




とビビりながら涙目で見ていた。


それを見てレベッカは




「な! 何をするの!」




と言って不良生徒に怒鳴った。


それを見て




「お前ら……もう少しボリューム下げろ……ゾンビが来るぞ……」




とアレックスは指を口元に当てて言ったが。




「黙れ! この糞野郎は痛い目に合わせねえと気が済まねえ!!」




と言って不良生徒は望の腹を思いっきり蹴り飛ばした。




「げあふぁああああああああ!」


「この糞が!!」




と言って何度も何度も蹴り上げる。




「うう! うば!! うげえええ!!」




そのため望は今日の食べたお弁当の消化途中の物を吐き出した。


それを見て不良生徒は




「うわ! 汚ねえ! この糞が!!」




と言って望の頭を踏みつけた。




「てめえ!! 汚ねえんだよ!!」




と言ってグリグリとゲロに望の顔を擦りつけた。


それを見てレベッカは




「いい加減にしなさい!! 何をするの!」




と言って不良生徒を止めた。


アレックスも




「お前は!! 何をやってるんだ!!」




と言って不良生徒を望むから引き離した。


望は




(糞おお……何で俺がこんな目に……そもそもいったいこれは……そうだ、この世界はゾンビ感染? で侵されているんだった……それで俺はゾンビになりたくてあそこでクラス皆とゾンビになろうとしたら……なんか助けられて頭をなんか……打って? それでここまで運ばれたのか?)




と考えた。


そして




(つーか……何だよこいつら!! 狂ってやがる!! ゾンビにならなかったばかりにこんな奴にいきなり殴られて蹴られて踏みつけられた! こいつらも俺がこんな目にあってもなかなか止めに入らなかった!! 何なんだこいつら! 怖い怖い怖い!! 何なんだよこいつらはああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)




と恐怖に打ち震えれ




「そうだ……ゾンビになれば……」


「え?」




望は震えながらボソッと言った。


レベッカはその言葉が聞こえたのか望の方を見た。


望はそんなことにも気づかず




「俺はゾンビになる! ゾンビになってやるうウウウウウウウウうううううう!!」




と発狂したように声を上げながら望は廊下へと走った。


その言葉に気づいてアレックスは




「おいお前! 落ち着け!! 何を言ってるんだ!! ゾンビになるって!」


「離せええ!! 離せよおおおお!! ゾンビに!! ゾンビになってやるんだアアアアアアアアアアアア!!」




と言って掴みかかられた腕を払おうとするが力の差が離れすぎていた為に、全くビクともしなかった。


レベッカも




「大丈夫! 大丈夫だから! 落ち着いて!!」


「なあせえええええ!! 離しやがれええええええええええええええええええええええ!!」




それを見て和子と剣子は少し動揺して動けなかった。


不良生徒は




「フン、行かせりゃいいんじゃねえのか? お荷物が一つ減る」


「何を言ってるんだ!!」




不良生徒の心無い言葉にアレックスは怒ったが。


それどころではなかった。


望を押さえつけて何とか抑え込んでいるが声が大きくゾンビが来る可能性がある


すると




「ごめん!」




と一言言ってレベッカはあるものを望に打ち込んだ。




「あ……ねむい」




そう言って望はその場に倒れて動かなくなった。




「レベッカそれって、筋弛緩剤化?」


「ええ、おそらく精神的にパニックを起こす人もいると思って持ってたわ、これで少し大人しくさせないと」




と言って冷や汗を掻いていた。


すると




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」


「「「「「!!」」」」」




望以外のその場の物はゾンビの声がして静かになった。




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




と言ってドアの方で影があった。


おそらく先程声が大きかったためにゾンビが徘徊しているのだろう。




ドン、ドン




とドアにぶつかった。


だがすぐに




キ―――――――――――――――――ン




と遠くから甲高い音が鳴りドアの近くにいたゾンビは離れて行った。


それを確認できて皆ホッとした。


そしてレベッカは




「正直このまま逃げたかったけど、今日のショックによる気疲れとこの子が今寝かせてるのを見ると今日はここで寝泊るしかないかもね、先ほどのゾンビもまだ近くにいるだろうし」




と言って冷や汗を掻いていた。


それを聞いて不良生徒は




「だからそんな馬鹿放っておけばよかったんだ!! ふざけやがって!! そいつを餌にすれば逃げれるんじゃないのかよ!!」




と言って怒鳴った。


それを見て




「おい……静かに……先ほどのゾンビもまだ近くにいるかもしれないんだぞ……」




とボソッと言った。


不良生徒はビクッとしながらドアの方を見た。


ゾンビは来ていないのを確認してホッとした。




「糞、何でこんなことに……」




不良生徒もあまりの事態に頭が混乱しているようだった。


だが剣子は




「混乱にしてもお前のやってることはあまりにも自分勝手だ、慎め、少しは相手のことも考えろ」




と言って睨みつけた。


不良生徒は




「ふざ……」




と声を出そうとしたが




「静かにって聞こえなかったかな?」




とレベッカも少し怒り気味に言った。


流石に自分では勝てない実力差を感じ取ったのか黙った。


そして理科室は少しの間静寂が続いた。


そして




「ふー、どうやら近くに気配はしない、どこかへ行ったようだ、皆に少し話をしておいた方が良いだろうか?」




とレベッカに少し尋ねた。


レベッカは




「……それはどうかしら、いきなり話しても」


「聞かせてください、状況を知りたいので」


「私も、今の状況を知りたいです、分からなくても聞いてはおきたいです」


「俺らに走る権利がある!!」




とレベッカが迷ったところ剣子と和子


そして不良生徒が少し声を大きめで言った。


それを聞いてアレックスは




「お前は脳が搭載されてないのか? 大きい声を出すなと言ったんだが?」




と不良生徒に対してさすがに怒っていた。


不良生徒は




「糞が……」




と睨みながら言った。


そして、レベッカは3人に対して




「そうね、分かったわ、じゃあどうしてこうなったかは話しておくわ、多分誰も信じられないと思うけど……あ、別に馬鹿にしてるんじゃないの、これはふつう信じられないことだからそう言っただけだから!」




と少し慌てた様子でレベッカは手をぶんぶんと振った。




「いいから話せよ」




とアレックスは呆れたように言った。

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