25Dead『眠れぬ夜Ⅱ』

「重い」


「は?」




望はうんざりしたような顔で言った。




「俺はさ、お前に音無との馴れ初めを聞いたんだ……何? 何なの? 夜に軽い物を食べたいって言ったのにカップ焼きそば大盛りを出された気分だよ」


「その例えはどうかと……というか話を聞け……」


「は? 本当に音無は現れるのか? お前のカップル自慢+不幸自慢をするつもりか?」




と剣子に言った。


剣子は




「大丈夫だ……この後だから」




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私は勇実を殺した後廊下に出た。




「!! 剣子ちゃん!! 勇実君は! とっておきの手って何!」




と震えながら私に聞いてきた。


バリケードはもうすぐ壊れそうであった。


私は震えながら




「あいつはお前たちを見捨てるつもりだったらしい……」




と言った。


それを聞いて皆は




「そんな……」


「う……ウソだろ……」


「糞! 糞!」




と完全に恐怖に包まれていた。


私は




「だが私は戦う! 皆は逃げるんだ!! 外ならゾンビは少なくなっている方から! そうすれば助かるかもしれない!」




と言って皆を教室に行くように言った。


だが




「もういいよ、無理だ……」


「え……」




私は皆が諦めているのが分かってしまった。




「だって……こんなのどう考えたって……生き残れないよ……」




と言って誰も動こうとしなかった。


そんな姿を見て




「頼む! 皆!! 逃げてくれ!! お願いだから!」




と言ったが誰も動こうとしなかった。


そうこうしているうちに




ドガドガドガアアア!!




とバリケードが壊れた。


私も他の皆に声を掛けることが出来ない状況になった。




「糞おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」




私は生きるために必死にゾンビを殺し続けた。


竹刀でどこまで行けるか分からなかった。


そして、途中で折れたため近くにあった箒で何とか自分だけ逃げ切ることが出来た。


他の皆の悲鳴が聞こえる中、結局勇実が言ったように私は自分だけ逃げてしまったのであった。


怖かったのだろう……結局私も屑だった。


そして、ゾンビのいない場所で私は




「誰か……いないの~……」




と震えながら言っていると




「誰か……助けて……」




と言って声がした。




「!!」




私はその方向へと向かい走って行った。


するとそこには1人の女子生徒がいた。




「大丈夫か!」


「!! ああ……あなたは……」




大人しそうな感じの子であった。


1人で震えて座り込んでいた。




「私の名前は本庄剣子! あなたは!」


「音無……音無和子」




と言った。


私は何故か救われた気分であった。


そして私は




「一緒に行こう! 逃げるの!」




と言った。


和子は




「どこへ……」






と言って私の手を取り立ち上がった。


私は




「分からない……でも諦めないで」




と言った。


和子は




「分かった……諦めない……嫌諦めたくない……」




と言って涙を拭っていた。


そして私は居れた箒を捨てて近くにあった竹刀を拾った。


恐らく誰かゾンビに噛まれ、放置された物だろう。




「行こう!」


「うん!」




そう言って私と和子な逃げるために廊下を走り回った。


そこで不良生徒を連れているアレックスさんと会って一緒に逃げることになった。




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「という感じかな……」


「へーそうなんだ……」




と言って望は相槌を打った。


すると剣子は




「さてと、私の話をさんざん聞いたんだ……お前はどうやって生き残ったんだ? レベッカさんが来るまで?」




と聞いてきた。




「ビク!」




と望は少し冷や汗を掻いた。


剣子は




「まさか……お前も他の生徒を盾にして生きたのか……」




と睨まれた。


望は真っ赤になって




「はああ!! ちげええし! いやまあ同じような物でもないか! ちげええし!」


「どっちなんだ!!」




と剣子に怒られる。


望は




「いや考え方次第だよ! そう考え方次第! 確かにあれは盾になってしまって経過もだが俺別にそう言った理由で生き残ったわけじゃねえし! 不幸だし!」




と言い訳がましいことを望は言った。


剣子は




「金玉潰すぞ」




と鈍器のようなものを持っていた。


望は真っ青になり




「みっ皆にゾンビになろうって提案しました! 俺もなろうとしたらレベッカさんに邪魔されてなれませんでした!!」




とつい言ってしまった。


それを聞いて剣子は




「……は?」




とキョトンとした。


剣子は




「は? ゾンビに? お前? 何を言ってるんだ?」




ととても信じられないような目で見ていた。


その為望は




「糞……ああそうですよ!! 俺は皆にゾンビになろうって提案して自分もゾンビになろうとしましたよそれが何か!」




とぶっちゃけた。


剣子は




「何で?」




と呆れたように聞いてきた。


望は




「だって、その方が幸せだろ? ゾンビに怯えて震えながら恐怖するより、一層ゾンビになった方が幸せなんじゃねえ? って思って取り敢えず皆に提案したんだ!」


(本当のことは言ってるよな……)




と重要な部分は何も言わずに理由だけを述べた。


それを聞いて




「なあ、さっき提案したって言ったよな……」


「? ああ、そうだけど?」


「つまりお前は罪のない人間をゾンビに変えたのか? 誘導して加藤先生や他の生徒をゾンビにしたと?」


「したのはレイビン家? だろ、それに俺は提案をしたが乗るのは他の奴らだ、俺は事実だけを言ってゾンビになることを提案したんだ」


「いやそれを誘導って言うんだよ! この屑が!」




と剣子はキレた。


望は




「確かに俺は屑だ……そうだな、ゾンビにしないといけないな! そうだゾンビにするんだ! 俺が憎いだろ!」




と煽るように剣子に囁く。


剣子は




(糞! こいつ! 平然と私をも誘導して自分をゾンビにしようとしてやがる! 人の憎しみや苦しみを利用してやがる! それをあの時に発揮してるというのか! こいつの思惑通りにはさせん!)




と思い剣子は




「いや、お前はゾンビにはしない」


「は?」




と望に言い切った。


そして




「お前はこれから一生他の奴らをゾンビにしたことを後悔して生きろ!」


「? 別に後悔はしてない……唯一あるのはあいつらがゾンビになれたのに俺がゾンビになれなかったことだ」




と言われてしまった。


剣子は




「糞……こいつを生かすことだけがこいつを苦しめる唯一の方法なのか……」




とあっさりと否定されたことに心苦しく思った。


望は




「いやだから俺はゾンビになって良いって」




と言うが剣子は無視をした。


そして剣子は言った。




「一つ聞く、お前は他の皆を盾にしようとはしなかったんだな? お前もゾンビになるつもりだった? そうだな?」




と確かめるように聞いた。


望は




「だからそうだって、てか今も思ってる」




と言った。


剣子は




(まあ、盾にしたというより一緒に死のうとしただけあの時のショックよりかはまだ軽いな……)




と自分を納得させて。




「希咲 望」


「はい?」


「お前は生きろ」


「は!」


「生きて、もし平和になった時お前は自分の罪に気が付く。そしてそのことを後悔する時が来るだろう! その時お前はかなり苦しむ! それで苦しまないのなら私の手で殺す! 良いな!」




と険しい表情で言った。


望は




「えええ……」




とドン引きしながら剣子を見ていた。




「ガウ!!」




と窓から睨むように俊敏性犬が見ていた。




「……あの駄犬が……俺をゾンビにしないとは……」




とボソッと望は文句を言った。


剣子は




「お前があいつを嫌う理由があまりにもしょうも無さすぎる」




と呆れながら言った。


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