11Dead『心には……』

望は




「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! おっさあああああああん!! そんなつもりじゃなかったんだああああ!! なのにいいいいいい!! 俺のせいだああああ!! 許してくれええええええ!!」




と泣き叫んでいた。


それを見て和子は




「いや!! しっかりしてよ!! バカなことで泣いてないで戦ってよ!」




と言って望に近づいて肩を持ち揺さぶり正気に戻そうとした。


だがそんな時




(いや、又希咲君に銃を握らせると今度は本当に私が運が悪いと剣子ちゃんに銃の弾が当たってしまうかもしれない、それならいっそう希咲君は放っておいて私が撃った方が良いかもしれない!)




と思い落ちていた銃を拾って




「もう君は後ろに下がって! 私と剣子ちゃんでするから!」




と言って望を後ろに下がらせた。


そして、ゾンビに銃口を向けて発砲しようとしたが


ある違和感が過った。




「アレ? 何だろ? さっきいた鬘のゾンビがいないような……」




そう思いゾンビをよく見ると先ほど鬘を落したゾンビのおっさんがいなかった。


それに気づいて




「まさか! どこかに!!」




そう思い周りを見渡すと


そこには鬘を頭に装着して整えている鬘ゾンビがいた。




「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」」




そして、鬘を整えて違和感のない髪型にして再び和子と望を襲うように近づいてきた。




「何で!! どうして鬘を拾ってセットしたの!! もうゾンビなのに!!」




と普通に和子はビックリしていた。


望は




「きっと、意識はなくても残ってるんだよ」


「え、何が……」




と聞いた。


そして、望は綺麗な涙を流しながら言った。




「心の中には残ってるんだよ……鬘を整えろって……」


「そんな……子供を守った素晴らしい親子愛を見た時みたいな綺麗な涙を流しながら言われても……」




と本気で呆れていた。


すると




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




と思いっきり鬘ゾンビが望に近づき噛もうとしていた。




「うわあ!! 噛まれそうだよ!! 希咲君!!」




と言いながらすぐさま銃口をゾンビに狙いを定めて




(当たれええ!!)




と思いながら




パアアアアアアアアアアアアン!!




と発砲した。


ドシュ!!


と頭に直撃




「やった!」


「ア゛ア゛ア゛ア゛……」




と呻き声を上げながらそのまま倒れた。


ボト




「……お前……何て事を……」


「え?」




和子は望に信じられないと言わんばかりの目で見られて。




「お前……自分が何をしたか分かっているのか……」




と言われた。


和子はキョトンとしながら、




「うん? え?」




と戸惑っていた。


そんな和子の肩を掴んで揺らされながら望は




「お前!! オッサンの頭皮を丸裸にして何が面白いんだあああああああああああああ!!」




とキレ始めた。




「えええ……」




和子は肩を揺らされながら少しゲンナリしていた。


すると




「「「「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」」」」




と4体のゾンビが和子と望の方へと向かった。


剣子も




「そっちに行ってしまった!! すまない!!」




と言って明らかに前方のゾンビを倒していて動けなさそうだった。




「ちょおおちょおおおおとおおお!! そんなことをしている場合じゃないんだけどおおおお!! 落ち着いてえええええ!!」




と言って揺さぶられながらも説得しようとするが




「どうして!! オッサンはな!! ゾンビになっても尚鬘を整えることを忘れなかったんだぞ……それなのに……それなのにいいい……」




と涙を流しながら言った。


だが




(もうこの人はあああ!! しょうがない!! この状態で狙いを定めるしかない!!!)




と考えて銃を構えた。


そして、銃口をゾンビ4体に向けて




パアアン!! パアアン!! パアアン!! パアアン!!




と4発発砲した。




グシャ! ドシャ! ズブ!! ドシャン!!




と全て頭に命中して4体ともその場に倒れた。


それを見て和子は




「ええええええ!! こんな状態でも当たったんだけど!! なんか自分が気持ち悪い!!」




と自分自身に引いていた。


和子に隠れていた才能が発覚した瞬間だった。


そして




「とにかく! アレックスさんやレベッカさんが来るまで持ちこたえるだけ!」




と自分に言い聞かせて銃を握る、そして希咲の方を見て




「希咲君! ちょっと邪魔だからそこで大人しくしてて!」


「ううう……ううう、オッサン……すまない」




と先ほど倒した鬘ゾンビの方に向いていた。


そして和子はその前に立って


銃を構えて発砲する。




そうしている間に




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「お待たせって……えええ!!」


「おいおい! これはどういうことだ!!」




とアレックスとレベッカが車を運転をして帰ってきた。


そして3人がゾンビに襲われているのを見て唖然とした。


そして、バスが無くなったいたのであった。


そして




「とっとにかく!! このままゾンビを轢き殺すぞ!!」




と言って剣子の目の前にいたゾンビを全て轢き殺す為ハンドルを切り、そのまま剣子の横を通る。


そして




「乗って!」




と言って剣子をレベッカが車のドアを開けて




「フン!!」




と剣子がのばした腕を掴み、引き上げる。


そして




パン! パン! パン!!




と銃で和子は目の前のゾンビを全て殺すことが出来た。


そして




「やっと来てくれたあああああ……うわあああああ!! 怖かったよおおおお!」




と2人が来たことを確認した和子は安堵して、泣いていた。




「うううう……オッサン……ううううう」




と望は未だに鬘ゾンビに対して涙を流していた。




「ええ……えええええ……何この状況? どういう状況?……」




と困惑していた。


アレックスは




「どっどうやら……接戦だった? のか?」




と予測したが自分の出した回答に自信になく言った。


そして、望の方を見ると倒れているゾンビに対して泣いていた。


そんな姿を見てレベッカは




「もしかしてあのゾンビってあの子の知り合い?」




と少し不安そうに聞いた。


だが和子は




「いや、知らない人だよ……」




と呆れながら言った。




「えええ!! じゃあなんで泣いてるの!?」




とレベッカは驚いた。


そして




「えっと、こいつは放っておいていいのか?」




と聞くと




「うん、いいよ、えっと何があったのか取り敢えず話すね」




と言って少し疲れたような顔で和子は言った。


すると剣子は




「私が話そうか? 和子こいつの対応で疲れたろ?」




と言われたが




「むしろ私が話すから剣子ちゃんが休んで、一番大変な役目ばかり押し付けちゃったし……」




と言って遠慮した。


そして




「えっと、じゃあ話を聞かせてくれるかしら?」




と言った。


そして




「実はね、アレックスさんとレベッカさん……あの時リーダーになるってうるさかった清田君っていたでしょ?」


「ああ、あのうるさかった奴か」


「あのうるさかった子ね」




と2人は同時に言った。


それを聞いて和子は




「2人もうるさかったって感じてたんだ……ってそんなことより! 清田君が2人が出て行ったあと戦うなんて無理だとか俺らのために戦って救うべきだろとかもともと人だったゾンビを殺すなんて人殺しだとか色々と文句を言ったんだよ」


「なるほど、でもそれで何で君たちが追い出されたんだ? 戦いたくないなら君たちを追い出す必要はないだろ?」




と首をかしげながらアレックスは聞いた。


それに対して和子は




「いやあ、私たちもアレックスさんたちが助けてくれている間だけでも戦えるようにしないと死んじゃうよって言ったんだけど聞いてくれなくて、その上私たちに言うことが聞けないならこのバスから降りろって言われて……それで無理矢理……」




と言って落ち込んだ。


それを聞いて




「何なんだあのうるさい奴は! 横暴にも程があるだろ!」


「そうよ! あのうるさかった子は!! 何様なの!!」


「もう名称はうるさかった奴扱いでいいんだね……2人は……」




と少し和子は笑っていた。




「それで、3人は追い出されたんだね」


「いや、2人だ」


「へ?」




レベッカは追い出されたのが和子と剣子と望の3人だと思い言ったが剣子に2人であると言われた。


それを聞いてアレックスは




「え! じゃあなんであいつはバスを降ろされてるんだ! まさかさっきの不良と同じようにいじめられてたのか!」




と聞くと和子は




「いや、トイレ休憩だと思って降りた瞬間にバスが発進しちゃったみたいで……」


「今の話の一体どこにトイレ休憩と勘違いしたの!」




と言われた。


剣子は




「話を聞いていなかったらしい」




と一言答えた。


2人は




「で? 彼は2人と同じ意見なのか? 戦うということに否定はないのか?」




と聞くと




「えっと、一応は戦おうとしてくれたよ? 銃も使おうとしてくれてたし……」




その煮え切らない言葉にアレックスは




「どうしたんだ? 一応って?」




と確認した。


和子は困ったように




「えっと……レバーアクションを引こうとしてたんだけど片手で出来なかったのか、両手で挟んでレバーアクションを引こうとして……しかも銃口を自分に向けていた状態で……」




と説明をして




「ええ!! それ!! 何で!! 死んじゃったらどうするの!」




とレベッカは真っ青になって言った。


和子は




「まあ私も止めたんだけどね、最終的に落してしまって……」


「!! だっ大丈夫なの!」


「誰も怪我してないか!」




と2人は心配をしてくれた。


和子と剣子は




「大丈夫ですよ、銃弾は私たちには当たってません」


「私も和子に当たったんじゃないかと思ったんだけど大丈夫だった」




と言った。


アレックスは




「そうか、それは良かったよ」


「で、今あいつはあの状態に至ってるんだ」


「そう、なら良かっ……うん?」




レベッカが言う前に剣子が望の方を見て言った。


レベッカはそれを聞いて言葉が詰まった。


そして、レベッカが




「え! え! どうして拳銃落したことが今あの子があのゾンビの前で泣いていることになるの!」




と聞くと和子は




「あのゾンビの鬘を銃弾で落としてしまったことで泣いてるんだよ……まあ結局私が撃ち殺して鬘が取れて泣いてるんだけどね」


「へっへえ……」




とレベッカですらさすがに引いていた。


アレックスは




「ドっどうしよう、俺もオッサンになったら剥げてゾンビになった時にさらすのかな!!」




となぜか頭を押さえて心配していた。


それを見てレベッカは




「ええええ……あなたもそっち側……」




と思いっきり引いていた。


そして




「とっとにかく!! こんなところでじっとしているわけにもいかないし取り敢えず車に乗って! そうすればゾンビが来ても車で逃げれるから」




と言ってレベッカは皆に車に乗るように言った。


そして、そこで泣いている望にも




「えっと……名前なんだっけ?」


「希咲君です」


「ありがとう、希咲君! 早く乗って!」




和子から名前を聞いて望に乗車するように言う。


望は




「少し待ってくれるか?」




と涙を流しながら言った。


それを聞いてアレックスは




「何かやり残したことがあるのか?」




と聞くと望は




「オッサン、最後の子の鬘、セットしような」




と言って倒れている鬘ゾンビの頭に落ちてしまった鬘を頭に付けてあげ、棟ポケットに入っていた櫛で髪をといてあげた。


そして、髪が違和感なく頭にセットされ




「良かったな、オッサン、皆見てくれ……オッサンの表情が……少し……良くなったと思わないか……」




と皆に言うと和子は優しい声で




「気のせいだよ」




と教えてあげ、




ズズズズ




と引きずって車に乗せた。




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そして車に乗って道路を走っていく


車の中には大量の銃器があった。


そして、剣子は




「和子は凄かったですよ、拳銃の狙いが正確で撃った弾が全部ゾンビの頭に命中していました」


「そっそうなの! 凄いは! 和子ちゃん!」


「あ……ありがとうございます、何でだろう、友達とゲームセンターに行ったときシューティングゲームとかしてたから鍛えられたのかな……」




と照れながら言った。


アレックスは




「そうか、なら取り敢えず君には軽い銃は任せるよ」




と言って拳銃の弾を入れるケースを渡した。


中には多めに銃の弾が入っていた。


そして




「取り敢えず銃の装填の仕方を教える、弾が無くなった時にそれが出来ないと撃つことが出来なくなるから銃の弾も気にしながら撃つようにしてくれ」




と言って和子は




「取り敢えずこの丸い部分を出してなんかこのボタンみたいな棒を押して弾を出して新しいのを入れたんだけどこれでいいの?」




と聞いてきた。


それを見てアレックスは




「お前には期待が出来るな」




と言って少しワクワクした感じを見せた。


和子は照れながら




「お! 煽てないでください!」




と言って手をぶんぶん振っていた。


剣子は




「和子、照れてて可愛い」




と言って凝視していた。


和子は顔を隠して




「やめてよおおお」




と言って顔を埋めた。

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