第8話 江田島の生活

「生徒倶楽部」


 学校のそばには民間の家を借り切って「生徒倶楽部」という息抜きのための休憩場所が何軒か用意されていました。


江田島は四方を海に囲まれた島ですので休日でも広島などの本土に行って遊ぶことができません。そこで学友たちと島内にある指定された「生徒倶楽部」でトランプや囲碁、将棋、雑談、レコード鑑賞などをして休日を過ごしました。


 また「生徒倶楽部」の中にはその家族の中に年頃の娘さんがいる民家もあって、思春期真っ只中の私達はそのような特別な思いのある「生徒倶楽部」に行くときは目いっぱいおしゃれをして行ったものです。


 江田島の島民はみなさんが我々生徒に親切でみかんの季節になると、いつも「宿舎に持ってお帰り」と言って山ほどみかんをもらい、抱えて帰ったこともありました。江田島の人々はわれわれのことを尊敬とやさしさをこめて「生徒さん」と呼びまるで本当の家族のように大事にされたのです。

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