期待
世界に期待するなら、僕はなにをするんだろう。大阪の地震で、もういつ死んでもおかしくないなと、漠然と、もう20年も生きてきたくせに、今更思ったのだ。深夜に揺れる、揺れて、大した揺れでもないのに怖くなる。動かなくちゃいけない、もしかするとこの後どデカイ揺れがきて、家が潰れるかもしれない。それでも動かない。寝転んで、文字を売っている。馬鹿げている。本当に馬鹿げている。けれど今日は先輩の結婚式があって、二次会にも出て、いい日だったから、こんな日に僕の人生が終わるならそれもいいなと思っている。死にたくないなと死ねたならそれがいいなと思うのだ。こういう時、僕は少なからず世界に期待しているのだと思う。いいことがある日は危険なんだ、ツケが溜まっている気がする。次はひどいことが起こる、けれどまたいいことも起こる。期待、期待して、生きる。期待して生きるくせして、なにもせずに生きる。なにもせずに。揺れようと、死ぬかもしれなかろうと、なにもしないで。わからないからだろうか、なにをすればいいのだろうか。なにを期待しているのだろうか。拭えなかった不安は、今はもうないのだろうか、それとも、まだどこかで燻って、僕の中にあるのだろうか。わからないから、なにもしない。期待して待つのみ。
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