メモ

「今度の木曜。仕事が終わったら中崎町に行かない?」


「いいけど、何しに?」


「ブックカフェ、いい感じのとこ見つけたんよね。」


「わかった。」


そういって僕はがりがりと手帳の今度の木曜のところへ 〇〇 中崎町 と書き込む。


「結構手帳に書き込んでるイメージなんだけど、見たらそうでもないね。あんまり書いてない。意外。」


「大事なことだけ書いてるんだよ。」


「やっぱり私、あなたのことすごく好き。」


「どうして?」


「大事なことをメモする人って嫌いになれないのよ。手帳の端っこに、私との約束が書いてあったら、凄く嬉しいもの。」


「それならなんでも書く人でも一緒じゃない」


「なんでも書く人はダメよ。そんな人はきっと、卵とトイレットペーパーと私の名前を並べて書くわ。そんなの、許せると思う?」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る