もう何百回目かの眠れない夜。

会いたい人に会いたいなんて逆立ちしても言えない僕は僕のまんまで世界と向き合わなくちゃいけないんだなんて布団の中で真っ暗な部屋、ぼんやりと光るスピーカーから音猿を流しながら思う。

青春のど真ん中をヒップホップというハイセンスな音楽ジャンルと泣き声みたいな癖のある声で韻を踏みながら歌う、音楽ナタリーにすら取り上げられないようなマイナーな歌。

YouTubeの再生回数は何百回で、その何百は僕が確かに聞いた分だけ積み重ねられて行って、その度に僕の心臓を高いメッセージ性が狙いを定めて貫いて行く。

眠れない夜は音楽にしか救えない。

それはもう常連になってしまったこんな夜に足掻いていた中学一年の僕が手に入れた知恵で、あの頃の僕が今の僕を僕たらしめたもの。

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