生き難い

生きにくい、と思ったことはない。全く僕の人生は生きにくくないし、しいていうならど真ん中ストレートを投げ続けられているようなもので、いつだってホームランが打てる環境にあるのに、結局ホームランを打てずにここまできている、ような人生だ。

明日に希望を抱いて眠る夜がなくとも明日を悲観して人生を投げ捨てる夜を迎えたこともない。夜は人生の縮図のように感情を右往左往とさせて、真っ暗な闇の中で自分自身と向き合わせる。けれど、その闇の中でさえ僕は、僕自身と向き合ったことがないような気もする。

年齢を重ねるうちに、自分への失望の仕方を忘れてしまって、それは同時に自分への期待の仕方を忘れてしまったことだと思った。

もう僕は僕を裏切らずに、一生の友として生きていくことが出来るだろう。そんなもの、糞食らえだとも思うけれど。

こんなことができるかい、なんだ、できないのかい。そうやって成長していた青い頃の僕を、今では頑張った勲章だと青あざを撫でて思い出すことしかしない。いつからこうなったのか、わからない。わからないけれど、もう随分と、本当の自分を見つけたいと思っている気がする。本当の自分を追い始めたのは、自分に期待しなくなってからだ。それを、誰かが生きにくそうだ、というのだ。

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