ラグーンでの出会い(4)
あの老人。
いったい何者だったんだろうか。
俺は、不思議な老人の姿を思い出していた。
コーヒー代払わされたのは癪にさわるが、杖もらったので、プラスマイナスゼロだな。
俺は、杖をビジネスカバンにしまうと、普通の杖を買うために杖屋を探しに、再び街中を散策し始めた。
メインストリートを向かって歩いているつもりであったが、あの広々として活気に満ちたストリートには辿り着かない。
むしろ、太陽の光があまり差し込まない薄暗い場所に来てしまった。
いかにも危険な雰囲気のする場所に、俺は、完全に怖気づいていた。
とにかく、早くここから抜け出さないとと思い、辺りをキョロキョロと見渡し、メインストリートに抜けれる道を必死で探す。
ビビっているためか少し足元がおぼつかないが、なるべく早歩きで進む。
すると、前から来た誰かと肩がぶつかった。周りを見渡しながら進んでいたため、前をあまり注視していなかった。
嫌な予感がする。
このパターンって、もしかして……。
俺は後ろを振り向かず歩みを進めようとした。
しかし、そんな簡単に逃げられるわけもなく……。
「おい!テメェ、どう見て歩いてんだ。この界隈じゃ、見かけねぇ面じゃねえか」
そこには、目をギラギラとさせ狂気に満ちた雰囲気をかもしだす3人の男が不適な笑みを浮かべてこちらをみていた。
予想通りの展開に俺は小さくため息をついて、奴らの方に振り向いた。
「いや〜本当にすいません。周りばっかり見て歩いてたもんで!あんまり前見えてなかったんですよねー。ほんとすいません!」
俺は素早く礼をして、すぐさま走り出そうとした。
しかし、全く足が動かない。
恐怖のあまり動かなくなったのかなと思っていたが、もう1度奴らの方を振り向くと、3人の内の1人が魔法の杖を俺に向けていたのだった。
「テメェ、簡単に逃げれるとでも思ってんのか」
どうやら俺は、魔術で完全に足を封じられているらしい。
身動きの取れない俺の方は、ゆっくりと奴らが近づいてくる。
そして杖を持った男が、俺の髪を鷲掴みにすると、強く引っ張り上げ、俺の頭に杖を突きつけた。
殺される。
俺の異世界生活は、もうここで終わってしまうのだろうか。
俺は恐怖のあまり顔がひきつりながら、目を瞑った。
その時であった!
前方から何かの叫び声が聞こえた。
「何やってんだお前ら!!」
俺は瞑っていた目を開けると、そこには150cmぐらいの少年が仁王立ちして、奴らの前に立ちはだかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます