ルーナとレイスと俺(2)
寮に到着した。
白色を基調とした清潔感のあるキレイな外観の大きなアパート。
真ん中には大きな庭があり開放感があった。
「ここは、魔術師候補生が住んでいる寮よ。男子と女子で別れてるから、変態は女子寮に入っちゃダメだからね。わかった!」
ルーナが俺に指をさしながら念押しする。
これはネタ振りなのか?とお笑い好きの俺の脳内が疼きだすが、さすがに女子寮に入るのはマズイなと正気に戻る。
しかし、凡人呼ばわりするわ、変態呼ばわりするわ……。
俺を変態に仕立て上げたのは、ルーナであるというのに全くである。
ルーナに不満を抱きつつ、俺達は寮の中へと入っていった。
「これ、しょーたの部屋の鍵。503号室。通称『ゴミ号室』ね。じゃあ、私も自分の部屋に戻るから。あっ、一応、必要なものは部屋に入ってると思うから安心して」
ルーナはそう言い残すと女子寮の方へと歩いていった。
ゴミ号室って……何か俺の扱いひどくないかと不満がどんどんと大きくなっていく。
一応、別世界から来たんだからもう少し丁寧に扱ってくれてもいいのに。
そう思っていると横にいるレイスがつんつんと俺のシャツを引っ張る。
「翔太の部屋、早く行こ!ねぇ、早く!」
レイスは、俺の腕を引っ張って階段を駆け上がる。
ものの30秒で部屋の前に到着した。
相変わらずのレイスの体力に俺はついていけない。
俺は、ゼェゼェと息を切らす。
「はぁはぁ。レイス、何でそんなに嬉しそうなんだよ。たかが、部屋に入るだけだろ」
「だって、友達の部屋に入るのってワクワクするじゃん!それに〜、翔太の隣の部屋、僕なんだよねー」
「そっ、そうなんだ」
やはり、レイスのキャラはめんどくさいなと思ってしまった俺。
思わず顔がひきつる。
渡された鍵でドアのロックを解除して、俺のレイスは部屋に入る。
部屋の広さは7畳ほどで、ベットとクローゼットにシャワールームとトイレ。それにキッチン、冷蔵庫がついている。俺の世界にもある、家具家電付きのワンルームマンションのような感じだ。
「へー意外と普通の部屋なんだなー。何か、もっと魔術っぽい感じかと思ってたよ」
「何だよ魔術っぽいって。ちなみに、ご飯はみんな食堂で食べてるし、お風呂は基本大浴場を使ってるんだよ。結構大浴場が豪華だからあんまり部屋のシャワーはあんまり使わないかな。それよりさ、お腹空いてない?僕お腹ぺこぺこでさー、ご飯食べに行こーよ!」
ちょうど俺も動きっぱなしでお腹が空いていたので、レイスの提案にのる。
レイスに連れられて俺は食堂へと向かった。
食堂に着くと、ベージュ色の明るい内装に、白色の丸テーブルと四角いテーブル、オレンジ色や黄緑色のソファーや椅子が並べられていた。メニューも肉料理や魚料理などなど、どれも美味しそうなものがそろっていた。
俺とレイスは、日替わり定食的なものを注文して、空いていた4人がけの正方形型の席に座って食べていた。
食事はコミュニーケーションの一つだと思っている俺は、レイスとルーナの関係を聞いてみることにした。
「そうだ。レイスとルーナってどういう関係なんだ?」
「僕とルーナは、小さい時からよく遊んでた仲だよ。まあ、ルーナが行くところについて行ってただけなんだけど」
「そっかー。ってことは、ルーナとレイスは幼馴染みってこどだな。何か良いな〜。俺、幼馴染みとかいたこと無いから」
「へー、翔太、幼馴染みいないんだ〜。じゃあさ、じゃあさ!今日から僕と翔太も幼馴染みになろうよ!」
満面の笑みで俺に詰め寄るレイス。
「いやいや、それはおかしいだろ」
とは、言いつつも、幼馴染という響きに少し嬉しくも感じていた。
「小さい時からっていつぐらいから?」
「もう、17年ぐらいの付き合いになるかな〜。僕もルーナも今年で23歳だから」
その発言に俺は大きく目を見開いたままレイスを見つめた。
俺の体内時計は数秒止まった後、その現実に驚きを隠せない様になる。
「えっ!えーーーー!レイスが23歳!!」
ただの子供だと思っていた俺は、驚きのあまり、無意識のうちに大声で叫んでしまっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます