概要
一部会話が山形県南部・西置賜弁ですが共通語字幕を入れたから大丈夫(のはず)
筆者がご近所や祖父母、両親、見聞きしたお料理ネタとレシピエッセイ。
ひとつの素材でも故郷によってお料理は様々。
取り巻く家庭模様も様々。
これは東北・山形県の、一つの家族の昭和史でもあります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!筆者の山形での暮らしの向こうに、なぜか読者の昔の姿まで見えてくる
筆者である南 伽耶子さんが綴る、昭和の山形の暮らしやお食事をテーマにしたエッセイ集です。
山形の文化や暮らし、様々な料理の話題に加え、筆者さんの子供の頃からご結婚されるまでのご家庭の様子が、割と赤裸々に綴られます。
へえ、山形ではそんな風になっているんだ、とか、そんな事があったのかあ、と、エッセイを読んでいるうちに、ふと、自分のところはこうだったなあ、あんな事があったなあ、と、いろいろと思い出しました。
山形のエッセイを読んでいたはずなのに、不思議なことです。良いエッセイとは、そういうものなのかもしれません。 - ★★★ Excellent!!!一筋縄ではいかない、地元の「いい話」
郷土料理に地元の名産、山菜に手作り梅干をつけた思い出。
筆者が進学し家を出るまでの、幼少期から青春時代がぎゅっとつまったエッセイです。私もおばあちゃん子だったので、ところどころ共感して泣きそうでした。
みなさん、地元に抱かれている印象はどんなでしょう。川や山に入った思い出、庭先の果物をもいで食べたり、近所の子供と思い切り遊んだり、いたずらをしたり。楽しい思い出と同時に、どこか胸が締め付けられるような、息苦しさや重たさを感じる方もいるかもしれません。
祖父母と同居していた両親。ふたりの子供。生まれ育った家は、おじいさんが山形の地に拓いた織物屋さんで、従業員の方や、織の機械がたくさん。そんな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!自然があって材料がある。人がいて料理がある。料理があって生活がある。
山形県は大まかに言って、四つに地域が分かれている。庄内地方と言う海端の地域。最上地方という秋田に接する地域。村山地方という県庁所在地を有する地域。そしてこの作品に欠かせない置賜地方と言う、歴史豊かな地域だ。それぞれで方言も風習も違いがあるが、この作品では幅広く山形県の各地域が扱われていて、驚いた。小生も山形県出身だが、ここまで綿密に調べられた、もしくは詳しく各地方を述べられた作品に接するのは初めてだ。また、芋煮会の話題など県内外の方にも馴染み深い物も取り上げられている。
そしてその山形に住んでいる人々の暮らしぶりが、細かく、そして深く描かれていて、思わずほろりとくる。この作品を拝読すると…続きを読む