概要
戦場は、巨人たちのもの。
携えたマシンガンが火を噴き、肩に担いだキャノンは筒音轟かせる。
刃交え組み打つ足元で、歩兵たちが奔走する。
――そこへ、ドリルがやってきた――
この世界で唯一の、腕にドリルを具えたロボット『ファーザー』。
巨人たちの戦場に、ドリルが持ちこまれた。
あらゆるものを穿ち貫き、地中を自在に駆け巡り、ドリルはこの世の戦を攪拌する。
そして
ドリルロボット・ファーザーから生まれた男『ヴォルテ=マイサン』は、自らのルーツを追い求め戦場へと身を投じる。
彼はドリルに惹かれ、ドリルに導かれ、ドリルを操り、ドリルを求め――――やがて、世界をドリルする。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!×スーパーロボット ×リアルロボット ◎ドリル
少年と運命的な出会いを果たすロボット・ファーザーは間違いなくスーパーロボット。
国と国同士が戦う軍事要素はリアルロボット。
どちらの要素も持っていますし、真っ直ぐな力を物語に感じます。
ただし。
読む側のイメージが『ドリル』の三文字でほぼ固定化されてしまいます。
感想を書こうにも、ぱっと頭に浮かぶのは全てドリルになってしまいます。
スーパー、リアルの区分など最早どうでもいいのかもしれません。ドリルの三文字さえあれば。
ええ、もう見事にドリルの術中にはまりドリル以外の語彙力を失ってつまりドリルがドリルでドリルドリルドリルドリリリリリリリリリリリ
印象が強烈な作品ですが、先述の通り物語…続きを読む - ★★★ Excellent!!!貫くために回るのか、回り続けるために貫くのか
ドリルとはすなわち、らせん状の構造を回転させて穴を穿つものである。
その構造にはいくつかの見逃せないポイントがある。
工具であるにも関わらず、ドリルにはモノを壊す機能しかない。
穴をあけたのちにそこを固定するのはネジやビス等ほかの工具の仕事だ。
ドリルだけで工事や工作は決してできない……ほかの工具なくしては!
ドリルによって何かが作られることはない。
しかし、何かを作るためには破壊が、ドリルが必要なのだ。
また、ドリルは回転することで前に進むわけだが、何もない空間ではただ回るだけだ。
貫く目標に触れた瞬間に、その抵抗によって前へ進み始める。
それは人間の文明そのものの在り方ともいえる。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それはありふれたそしてここにしかない螺旋神話(ドリルミソロジー )
この物語を一言で表すなら、このレビューの題名その物となる。大枠で見れば似たような物語は数多く存在している。しかしそれら偉大なる作品群と同じ様にヴォルテックス・ファーザーは僕らの心を貫き、そして熱くさせてくれた。
ただ個人的にはこの物語はヴォルテ一人だけの物語ではないと思う。その相棒にして、彼が旅立つ物語の最後に立ちふさがった男バンカ。彼もまたこの物語における主人公だと強く思う。
ヴォルテが超人としての主人公であるならば、バンカは凡人の、そしてそれでも前に進んでいくタイプの主人公である。
このタイプの違う2人の主人公が描いた螺旋こそ、ヴォルテックス・ファーザーという物語(ドリル)のエッジ…続きを読む