経緯03:原因究明から退院まで
【22日目】
サンリズム負荷テストを行いました。この検査は、「サンリズム」という薬を投与し、心電図を見るというものでした。
サンリズムは抗不整脈剤の一種で、不整脈の治療に使われている薬なのですが、ブルガダ症候群の人に使用すると、逆に不整脈を誘発してしまうそうです。
また、サンリズムを投薬すると心電図に特徴的な波形が出るらしく、ブルガダ症候群の識別にこの検査が行われるそうです。
【23日目~25日目】
レート・ポテンシャル、それからヘッドアップティルト試験を行いました。
レート・ポテンシャルは、通常の心電図検査ではとれない微弱な電気を感知し、心電図を撮る検査でした。ブルガダ症候群の方の場合、この微弱な電気の部分に特徴的な波形が出るそうです。
ヘッドアップティルトは、足の付いたベッドに横になり、15分間その状態のあと、ベッドごと垂直状態になり、血圧や脈拍の変化や失神が起こるかどうかを30分間様子を見る検査でした。この検査では、「神経調節性失神」があるかどうかが判るそうでした。
自律神経が上手く働かないと、この神経調節性失神が起こりやすいそうです。
【26日目】
一番大きな検査である、心臓電気生理検査(EPS)を行いました。
この検査は、カテーテルを心臓の内部近くまで進め、心臓の電気信号を記録・解析することで、心臓の電気信号の状態を調べる検査だそうです。
心臓の電気信号は、脈拍(=ポンプ機能)をコントロールしていて、ブルガダ症候群は、この電気信号系統に異常があり、不整脈が起こりやすくなるらしい……です。
また、心臓に電気刺激を加え、不整脈が誘発されるかどうかのテストも行います。
通常なら、不整脈が誘発されることは無いのですが、ブルガダ症候群患者の場合は、ちょっとした電気刺激で不整脈が誘発されてしまいます。
その為、あらかじめ除細動(=電気ショック)の準備をして、検査に臨みます。
旦那君はこの検査時に心室細動が誘発されたそうです。
電気ショックはとぉっても痛いそうで、麻酔を効かせてから除細動させることが通常なのですが、旦那君の場合は心室細動が比較的早く誘発されたそうで、その為に医師の判断により麻酔が効くより先に除細動処置を行われ 、カテーテルがトラウマになったそうです。
医師の「間に合わない間に合わない!」とう台詞が聞こえ、その後、除細動のショックがきたそうでした。
胸にこの時できたやけどの跡が、しばらく残っていました……(苦笑)
ブルガダ症候群かどうかの検査は、これで終わりでした。
【29日目】
この日は記念日でした。
行きがけにデパートでケーキを買い、病室でふたりで食べてお祝いしました。
この日は特に検査もなく、のんびりと過ごしました。
【30日目~31日目】
心筋症かどうかの検査を行いました。
まず心臓MRI検査を、翌日に冠動脈造影検査を行いました。
冠動脈造営検査はEPSと同じくカテーテルで行う検査だったそうです。
先日のEPSのおかげで、旦那君はかなりカテーテルが怖かったらしく、安定剤を処方してもらい検査に臨んだそうです。
以上の検査をもって、旦那君の病名を判断するための識別検査が終わりました。
【32日目】
検査結果の説明がありました。
検査の結果、サンリズム負荷テスト、レート・ポテンシャル、ヘッドアップティルト試験、EPSにて陽性の結果が出ました。
心臓MRI検査の方は特に問題はありませんでしたが、冠動脈造影検査で、若干の血管のれん縮が確認できてしまいました。
将来的に、「血管れん縮性狭心症」になる可能性が、わずかですが将来的にあるとのことでした。
ただ、今回の心室細動の原因とは、おそらく無関係であろうとのことでした。
上記の結果から、ほぼブルガダ症候群であるとの結論に至りました。
来週、植え込み型除細動器(以下、ICD)の植え込み手術をおこなうとの説明があり、やっと先が見えてきたと、正直嬉しかったです。
【補足:植え込み型除細動器(ICD)とは】
体内に植え込み、心室細動を感知すると除細動(=電気ショック)を行い、元の脈拍に戻してくれる医療機器です。
ジッポライターくらいの大きさで、皮下もしくは筋膜化に植え込みます。
植え込まれたICDはリード線で心臓と繋がり、24時間326日、電池寿命が来る日まで、心臓を見守り続けてくれます。
【33日目~37日目】
植え込み手術を待つ期間でした。
34日目に、義両親を交えて検査結果や今後の説明を受けました。
この週は、基本的にはのんびりと過ごしていました。主に、退院後のことを話したりしてました。
これからの事とか、心構えみたいなこととか。
【38日目】
ICD植え込み手術の日でした。
義両親と一緒に、手術の終わりを休憩ロビーで待っていました。
表面上は落ち着いていましたが、内心はドキドキでした。
大丈夫、大丈夫。きっと大丈夫。と、時計と睨めっこをしながら待っていたように思います。
無事に手術は終わり、動作チェックも成功し、あとは最終動作チェックと退院を待つだけだ! と、心からホッとしたのを覚えています。
術後当日は、念のために集中治療室のような場所で安静にするとのことで、いつもいた病室ではない部屋で過ごしたっぽいです。
【39日目】
旦那君は朝には病室に戻っていて、元気そうでした。
「(植え込んだ場所を)触ってみる?」と言ってくれたので、お言葉に甘えて触らせてもらいました。
植え込んだ場所は左胸の上部で、そこが四角く膨らんでいて、あ、ここに入ってるんだと素直に思いました。
肩の荷が降りた感じでした。
そして同時に、気持ちを引き締めなおした日でした。
【40日目~44日目】
この週も特にすることはなく、お見舞いに行っては他愛ないことを話し、週刊誌を読み、呑気にのんびりと過ごしました。
そういえば、救急救命の時にお世話になった先生が、ほぼ毎日様子を見に来てくれて、何だか嬉しかったです。
私が毎日居たりしたので、今でも忘れないのが、「本当にラブラブですねぇ」といった趣旨のお言葉を頂いたことです。
ちなみに八王子の病院でも言われました(照)
【45日目】
ICDの最終動作テストがありました。
無事に動作したとのことで、退院日も決まりました。
【46日目~48日目】
高校時代の友達がお見舞いに来てくれたり、そしてお見舞いの定番ともいえる「丸ごとメロン」を貰ったりと、退院に向けてウキウキした気持ちで過ごしていました。
あとは、すっかり埃っぽくなった自宅の空気の入れ替えとか掃除とかをした……ような気がします。
(注釈:この期間、都内の姉宅にお世話になっていました)
また、入院費用が高額になるとの説明を受けていたので、ソーシャルワーカーに色々な説明を聞いたりしました。
【49日目】
待ち望んだ退院の日でした!
掛かった費用に、覚悟はしていましたが驚き、そしてかなり緊張しつつ、地下1階のキャッシュロビーから1階の会計へ早歩きをしました。
あんな大金持って歩いたのは、生まれて初めての経験でした。
義兄(下)が自動車で迎えに来てくれたのですが、旦那君は当初、電車で帰るつもりだったそうです。
本屋とか
二ヶ月近く入院していたのでやっぱり、随分と体力が落ちていました。
久しぶりに娘に会い、あまり表情には出しませんでしたが、やはり嬉しそうでした。
約一ヶ月間は自宅療養することになっていましたので、ゆっくりゆっくり、体力や生活リズムを戻そうねと話しました。
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