娘、再度入園する。

購入した家は、それまで生まれ育った場所から車で約1時間ほどの場所でした。

引っ越し先は親戚も友人もいない地域だったので、馴染めるかな……うまくやっていけるかな……と不安もありました。


12月に引っ越しが完全に決まり、まず探したのは娘が通う幼稚園でした。

こちらには市が運営する幼稚園があり、保育料の安さが大変魅力的だったので(笑)、迷わす市立の幼稚園に応募をしました。

自宅から通える幼稚園は2か所あり、最寄りだった第一希望の園は、保育園も併設される人気の幼稚園らしく、すでに定員になっていました。

ただ、次に近い市立幼稚園には空きがまだまだ充分にあるということで、そちらに連絡をすると、すぐに面接(という名の入園説明)が決まり、後日開催された体験入園会を経て、無事に入園することが決まりました。

新しい幼稚園は二年保育だったので、気持ちも新たに、また最初からの幼稚園生活がはじまりました。



前の幼稚園でも入園式をし、また新しい幼稚園でも入園式を経験しました。まさかの2回目です(笑)

娘の学年は人数が少なく、年少さんはひとクラスだけで、2年間を同じ顔ぶれで過ごすことになりました。

男の子と女の子の比率は半々くらいで、元気な子や穏やかな子、色々な個性の子がいましたが、全体的には穏やかな気質の年代らしく、緩やかなグループはあったものの、全員が仲の良いクラスでした。



公立の幼稚園でしたので、保育費が安い分、ちょっとした遠出は徒歩で行うようでした。そこそこ坂道もある地域ですので、子ども達はどんどん健脚になりました。

娘も月が進むごとに体力がついてきて、自宅から幼稚園まで大人の足でも約30分、行程の8割が坂道の道程をお喋りしながら歩く姿に、歩くことの大切さを感じました……子どもってなんであんな体力あるんだ……(苦笑)。



川崎病の定期検診も年1回でしたので、夏休みに合わせて予約を入れました。2か月前から予約を入れられたので、家のカレンダーに忘れないようメモして、それでもついうっかり忘れそうになったりしていました。

また、知り合いもいないので、これでは前の幼稚園と同じくボッチになってしまうのでは……とちょっと焦り、幼稚園のPTAの役員に手を上げました。このおかげで知り合いも少しずつでき、本当の意味で、自分も娘と一緒に入園できたかなと感じました。


自分の仕事の方ですが、パソコンのインストラクターは教室の閉鎖が決まってしまい、1月末で会社都合での退職となりました。ならば幼稚園の間はのんびり過ごそうと思い、娘の入園前に父から紹介してもらった在宅の仕事のみをしていました。

月に1回、先方と打ち合せをする形態だったので、その日は延長保育に娘を預けていました。保育料とは別に料金を支払うのですが、事前予約でも当日でも大丈夫だし、最長夕方5時まで預けられるので、仕事をしているママさん達も多かったです。


娘も4才になり、旦那君の病気のことを、娘にも少しずつですが説明するようにしました。特にICDが入っている部分は、娘が旦那君と遊んでいる時とかに物理的なダメージが入ることが心配でしたので、旦那君の退院後から、意識的に「お父さんのお胸には機械が入ってるから、叩いたりしちゃダメだよ」と声をかけたりして、気を付けていました。

娘が話すようになってからは、「お父さんは改造人間だから、磁石とか電気を出すオモチャをお父さんにぶつけないように気を付けるんだよ」と、ちょっとずつ具体的に説明するようになりました。娘もお父さん大好きっ娘だったので、真面目にお約束を守ってくれました。


小さい頃から言い聞かせていると、それが当たり前の環境になるので、娘にとってはICDを入れている父親が普通の環境でしたし、あえて意識して、娘には伝えるようにしてきました。

父親が治らない病気であること。

その病気が、遺伝する可能性があること。

伝えることが、娘にとって良いことなのか、そうでないのかは、正直分りませんでした。ただ、娘にありのままのことを見せることで、自分たちが『どう生きていくか』を真摯に考えるようになったと思います。

私たちが不安になったり、悲観的になれば、娘にもそれが伝わってしまう。


治らない病気なのであれば、それはそれで仕方がない。

受け入れるしかないのであれば、受け入れる。

闇雲に怖がったり不安がったりするのではなく、何が怖いのか、不安なのかを見極める。


不安や心配なことがあるときは、夫婦で必ず話し合う。娘の前でも、病気に係わることに関しては気にせずに話し合うようにし、それは今でも変わらない我が家の光景となっています。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る