蓮池潭:龍虎塔
そして蓮池潭のメイン、いや、高雄観光の目玉、龍虎塔に到着。
龍虎塔は名前の通り、龍と虎の像のついている塔で、龍の口から入って塔に昇り、虎の口から出てくると、今まで積んできた悪業の全てが帳消しになる、と言われている。
間違っても虎の口から入っちゃダメらしい。でも大丈夫。もし間違って虎の口から入っても、また龍の口から入り直せば、やっぱり悪業は帳消しになるらしいよ。
龍虎塔に入るまでの、湖畔からの橋はカクカクに曲がっている。
中華圏では魔物は道を曲がれない、と信じられているのだ。だから、橋をカクカク曲げておくと、角まで来たときにそこらか先に魔物が進めないのだ。なんか、魔物なのに可愛いよね……。このカクカクの橋は色んな建物や庭園で見られるので、橋がカクカクしてたら「ああ、魔除けだ……」と思っていただけると間違いない。
さっそく、龍の口から中に入る。中は春秋閣の時と同じように、壁に道教の絵が描いてあり、他にもそのエピソードごとの塑像が置いてある。
途中で出口があって、龍のおなかから外に出ると、そこに龍の塔がある。
龍の塔も虎の塔も6層で、こちらはちゃんと壁があり、その外にベランダがあった。
3階と5階から外を見ると、龍の塔には龍が、隣りの虎の塔には虎が飾られている。下を見れば、今自分達が渡ってきた龍と虎が長々と横たわっているが、その他はひたすら湖だ。すぐ足元が湖というのは、なんとなく怖いような、それでてワクワクするような、そんな奇妙な感じがする。
龍の塔を5階まで登り(1番上の6階には登れないようになっていた)、下に降りてきてから、ちょっと揉めた。
女性チーム(いぬ吉&ぢぞ吉)は「せっかく来たから虎の塔にも登りたい!」と。
男性チーム(パパ吉&たぬ吉)は「もう疲れたから登りたくない」と。
そりゃそうだ。孔子廟から龍虎塔まで、1km以上歩いてきたんだから……。
ということで、「じゃあ1階で待っててよ。私らだけ登ってくるから」と、女性チームだけで階段を登り始めたら。
いきなり階下から「もう良いよ!それなら俺だって登るよ!」という叫び声と「待て!たぬ吉!ここで待ってろ!」という叫び声が……。
「ど、どうしたの!?」
「たぬ吉がそっちに登ってった!」
「え!?来ないよ!?」
まだ2階くらいにしか居なかったのに、待てど暮らせどたぬ吉は上がってこない……。
「え!?たぬ吉!?どこ!?たぬ吉!それ以上登らないで、そこでじっとして!!」
狭い塔なので、息子の泣き声は時々聞こえてくるのだけど、全く息子の姿が見えず……。取りあえず娘が1階のパパの元に走り、私は上の階に探しに行くのだけど、下からは娘は「たぬ居ないよ!」と叫んでくるし、上にもたぬ吉の姿が見えないし……。
まさか、落ちた!?
青くなって塔の5階をぐるりと回ってみて、やっとあることに気がついた。
この階段、二重螺旋階段になっているのだ!!!
そうか!私らの登っている階段と、たぬ吉の登っている階段は別の階段だったのか!!
「たぬ吉!たぬ吉、聞こえる!?」
「聞こえるよ~!」
「いま、手すりの向こうに虎がいる!?」
「いるよ~!」
虎がいるのは3階か5階。私がいるのは5階だから、たぬ吉がいるのは3階の筈!
「そこから動かないで!!いいね!?」
「うわ~~ん!!動かないよ~~!!」
慌てて3階に降りて、ぐるりと一周すると、泣いているたぬ吉をやっと発見……。
「ばかっ!!!どうして下で待ってないの!?」
こういう時、怒鳴りつけているのに身体は勝手に息子を抱きしめてしまうよね……。安心した私の声は涙声だ。それを微笑ましげに見ていた地元の人らしいおじさん達が下に降りていき、パパ吉とぢぞ吉に「息子さんは見つかったよ」と、ジェスチャーで教えてくれたのだそうな。
は~。
たぬ吉はよく分からない負けん気を起こして時々こういう事をしてくれるのだが、高い塔なのに手すりが低く、周りが湖というのは本当に怖い……。
でもせっかく3階まで登ってきたのだからと、たぬ吉と一緒に虎の像と記念撮影してから塔を降りた。
塔を降りたら虎のおなかから入って、虎の口に向かう。
だが虎から出てきたときには、たぬ吉はすっかりむくれてしまっていた。せっかく虎の口で皆で記念写真を撮ろうと思ったのに、たぬ吉はむくれてカメラに収まってくれまないのだ。仕方なく、ぢぞ吉1人の記念撮影。パパ吉は息子を追って、もっと橋の向こうまで走っていってしまった。
う~ん。子供だから仕方ないんだろうけど、この気分ムラは何とかならないものか……。
なんとかたぬ吉を捕獲したら、実はまだ水をゲットできていなかったので、「とにかく水とお昼ご飯!!」と、辺りを見回した。高雄でも1番の観光地なのに、なんでご飯屋さんがないんだ!?
通りの向かい、廟が並んでいる方の通りには、健康祈願の慈済宮があって、その前には観光地らしく水やフルーツが売っている屋台がある。取り敢えず水をゲットしてからご飯屋を探すのだが、本当にご飯屋さんが見当たらない。
竜虎塔や慈済宮は蓮池潭の端っこに建っていて、その端っこはバス通りに面している。バス通り沿いにならご飯屋さんがあるかな?と、バス通りの曲がったらビンゴ!やっとご飯屋さんを発見した。
お店は地元の人が寄るような小さな店で、床も壁も同じタイルでツルツル、椅子もパイプ椅子で、「オールウェイズ・三丁目の夕日」にでも出てきそうなお店だ。それも、ご飯屋さんというより、床屋さんみたいな感じ?
日本のお店に馴れている子供達は最初「え?ここで食べるの?」と尻込みしていたが、中から漂ってくる良い匂いと、通りに置いてあった容器に入っていたフカフカの蒸しパンの魅力には逆らえず……。
さっそく店に入って牛肉麺と蒸しパンを注文する。
う、旨い!
牛肉麺は子供達好みのあっさり醤油スープで、具は牛肉と青菜。こちらの麺は「卵麺」と書いてない限りは麺に卵が入っていないので、親からするとツルツルが足りない気もするが、娘からすると安心な麺だ。(但し、娘は日本のラーメンも大好きで、麺に卵が入っていてもアレルギーは出ないのだが)
そして蒸しパンは熱くてフワフワでほんのり甘い!おいしい!!おいしいよ!!
は~、一息ついた。
この後。
「蓮池潭の観光はこれでおしまいだからどうしようか」
「じゃあ哪吒を祀った三鳳宮に行こうか」
「ここから左營の駅までタクってMRTで三鳳宮に行くより、最初から三鳳宮までタクった方が安くない?」
ということになってタクろうとしたら、この辺は流しのタクシーが客待ちしちゃいけないことになっているらしく……。
「え?じゃあみんなどうやって帰るの?」
「みんな観光バスで集団で来るか、タクシーをチャーターして待たせてるみたいだよ?」
「あ、でもバス走ってるみたいだから、バスで駅に行く?」
「いや、あそこ!タクシーが客落とした!」
「そのタクシー待って!乗ります!!」
ふ~~。すごいギリギリでタクシーが捕まったよ……。
こうやって考えると、孔子廟は滅多に人が行かないみたいだから、孔子廟でタクシーを降りて、そこから歩いて龍虎塔に来たのは正解だったかも。龍虎塔は観光名所だけあって、結構タクシーがお客さん落としてく率が高いので、そのタクシーを拾いやすいようだ。
まぁ、今日が春休みで日曜日だったから拾いやすいだけだったのかもしれないけど……。シーズンはずれで平日だったら、チャータータクシーを待たせておくのが正解なのだろう。ネットでは、2時間くらいチャーターしてあちこち観光すると500元(約1500円)くらい、と書いてるサイトさんを結構見かけたので、その辺が目安なのだろう。2012年当時なので、現在はもう少し高いのかもしれないけれど……。
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